ポリス・ストーリー
ＲＥＢＯＲＮ

　これは、ジャッキー・チェンの新作アクション。
　日本では、ジャッキーの代表作のひとつ、「ポリス・ストーリー」シリーズの１０本目の記念作として公開されますが、これは本来の「ポリス・ストーリー」とは別の世界観にある作品です。
　（でも、ジャッキーも「ポリス・ストーリー」の主題歌をセルフカバーして追加録音していたりするからややこしいのですが）
　共演は、「人魚姫」のタコ兄の怪演が印象に残るショウ・ルオ、欧陽菲菲の姪で「疾風スプリンター」に出演したオーヤン・ナナ。

　国際捜査官リンは危篤に陥った幼い娘の元へ向かう途中、緊急の証人警護作戦に駆り出されるが、瀕死の重傷を負ってしまう。
　それから１３年。リンが重傷を負った証人が関係する事件を元ネタにした小説の出版をきっかけに、謎の犯罪組織が動き出す。
　一方、オーストラリアで正体を隠して暮らしていたリンは、彼が見守る少女ナンシーに異変が起きているのを知って……

　この映画、本来の「ポリス・ストーリー」とは違う世界の話だ、と言う事は承知していたものの、ここまで大きく変わっているとは……
　バイオロイド（人造人間）に機械の臓器、超再生を実現する人工血液……と、まるでアメコミ原作のスーパーヒーローもの映画のような道具立てで、なるほど、今回はマーベルフィルムみたいな事がやりたかったんだな、と。
　その一方で、映画の作りは最近のジャッキー映画にお馴染みのもの。
　ジャッキー演じる主人公が守るヒロインがいて、主人公に淡い恋心を寄せるサブヒロインもいて、身体が動かなくなって来たジャッキーを補って身体を張ったアクションを行う若手俳優がいる、と言う人物配置は、既視感を覚えさせるものとなっています。

　ただ、本作のアクションは悪くありません。
　ジャッキーの映画には珍しい激しい銃撃、爆発やカーアクションを盛り込んだ派手な内容は、映画を盛り上げますし、ジャッキーも見せ場は多くないものの、アクションを見せています。確かに、年のせいでスピードと軽快さは失われましたが、ジャッキーならではのコミカルな動き、周囲にあるものを活用した攻防など、お馴染みとも言えるジャッキーアクションが新作でも見られるのは嬉しい部分。
　その一方で、アメコミ映画さながらの近未来ＳＦガジェットの使い方は今ひとつで、やはりこうした所は不慣れさが出てしまう、と言う所でしょうか。
　（その点ではマーベルは巧い！）

　物語としては続編も出来そうですが……肝心の“超再生”を物語の中で活かしていないシナリオからして、それには期待薄でしょう。
　（シリーズ化するなら、主人公が得た超再生能力を活かしたスーパーヒーローものでしょうが……それは既にジャッキーの映画ではないしなぁ）
　でも、エンドロールのお馴染みのＮＧ集、最後のカットにあった、本作クランクアップの一言、
　「楽しかった！またやろう」
　と言う言葉に、ジャッキーの引退宣言は完全撤回され、やはり映画から身を退く事は出来なかったんだなぁ、と納得しました。

　（２０１８年　１１月　２３日　ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

レオ・チャン

　■出演

リン　・・・　ジャッキー・チェン

ナンシー　・・・　ショウ・ルオ

リ・スン　　・・・　オーヤン・ナナ

（その他のキャスト）
　エリカ・シアホウ　　カラン・マルヴェイ　　テス・ハウブリック

　■コピー

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　■Ｌｉｎｋ

http://policestory-reborn.com/

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