ＧＯＤＺＩＬＬＡ
星を喰うもの

　これは、ゴジラ映画で初のアニメーション版となる三部作の完結編。

　ゴジラ・アースによりメカゴジラを構成していたナノメタルを焼き尽くされた人類に敗北感と虚無感が広がる中、母船・アラトラム号のビルサルドが叛乱を起こし、船の動力炉を占拠して、作戦を失敗させた責により、指揮官・ハルオの処罰を求める。
　そうした混乱の中で、エクシフらがその企みを実行に移す。エクシフの教えに帰依した人々を生け贄に、彼らが神と崇める、彼らの母星を破滅させた滅びの王を呼び寄せる。
　そして、金色の閃光を纏ったギドラが降臨し……

　この物語、二作目でエクシフがＸ星人と判った時点でこうなるのが見えていたとは言うものの――主人公であるハルオ……迷い、悩み、ナノメタルを用いた作戦では、ゴジラへの復讐よりも人情を優先しさえした男が「復讐の権化」　としてギドラの依り代になるものなのか？――こうした展開にするなら、徹底して復讐鬼のような男を描き、最後はギドラの依り代としてゴジラに対峙する様を描かなければならなかったのではないか、と疑問を覚えてしまいました。
　確かに、遠未来の異世界と化した地球を舞台に、「ゴジラ」シリーズを再構築。人類が勇気で、ビルサルドが科学技術で、そしてエクシフが宗教でゴジラに対峙する、と言う図式は、スケールの大きさといい、抱えたテーマと言い、なかなか見事なものがあるだけに、主人公ハルオのあまりに青臭い言動と行動が、物語を大きく損なったようで、勿体なくも思いました。

　フツアの神であるモスラが遂に実体を見せず、ギドラが虚のエネルギーを持つ、次元の狭間に住まう高次元エネルギー体であり、一切干渉出来ない、と言う設定から“怪獣バトル”を期待するとやや裏切られますし、ＳＦ作品としても風呂敷を広げ過ぎた感もありつつも、怪獣映画の概念そのものを大きく変えた設定には唸らされました。
　ハルオの辿り着いた結末を含め、いかにも虚淵玄らしい作品ではないかと思いました。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

静野孔文　　瀬下寛之　

　■出演

　ハルオ・サカキ　・・・　宮野真守

　メトフィエス　・・・　櫻井孝宏

（その他のキャスト）
　梶裕貴　　杉田智和　　諏訪部順一　　小野大輔　　三宅健太　　堀内賢雄　　中井和哉　　山路和弘
　上田麗奈　　小澤亜季　　早見沙織　　鈴村健一　

　■コピー

その<黄金>は<絶望>すら焼き尽くす。

　■Ｌｉｎｋ

http://godzilla-anime.com/

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