これは、２０１６年のイギリス映画。
　それが２０１８年になって劇場公開となったのは、２０１８年に公開されたハリウッド映画「ウィンストン・チャーチル」に当て込んだものでしょうか。

　１９４４年５月、イギリス。英国首相ウィンストン・チャーチルは、ナチスドイツ占領下の欧州に対する大反攻作戦の嚆矢である“ノルマンディー上陸作戦”に反対していた。
　第1次世界大戦中の１９１５年、自らの計画で遂行し、５０万人もの死傷者を出した“ガリポリ上陸作戦”の惨敗が繰り返されることを危惧したのだ。
　チャーチルは英国王ジョージ６世が同席する前で、この作戦を率先して推し進めている連合国軍最高司令官アイゼンハワーに真っ向から反対意見を述べるが……

　この映画、は、ダンケルクの戦いから首相就任までを描いた「ウィンストン・チャーチル」に対し、その４年後、今度はノルマンディー上陸に反対し、抵抗したチャーチルを描くものになっています。
　第一次大戦でチャーチル（当時は海軍大佐）が立案したガリポリ上陸作戦の失敗が、彼のトラウマとなっており、ノルマンディー上陸作戦に反対（その代案がイタリア戦線で攻勢をかけてドイツ軍の注意を逸らせ、パリに近いボルドーに奇襲上陸する、と言うガリポリ上陸作戦の焼き直しである、と言うのがなんとも……）するチャーチルが大騒ぎした挙句、国王に説得されて泣き寝入りし、うじうじしている所を嫁にひっぱたかれ、秘書に怒鳴りつけられて、漸く立ち直る、と言う展開で、チャーチルをここまで情けなく描くのもどうしたものか、と思ってしまいましたが、それも、敗戦続きの大戦を４年戦い抜いた故の疲労と老いの加速、と言う事でしょうか……

　映画としてはハリウッド映画に対し遥かに小規模で低予算。特殊メイクなしでチャーチルに見えるブライアン・コックス（体格はともかく顔立ちは……）を起用、戦争映画なのに戦闘シーン皆無、ほとんど首相官邸と会議室だけで展開する、広がりを感じさせない映画になっています。
　それでも、秘書に叱責されて我を取り戻す辺り、意外にも感動的であり、ハリウッド版を凌ぐような描写もあるのだけど、やはり比較されてしまうと苦しいでしょうか。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

ジョナサン・テプリツキー

　■出演

ウィンストン・チャーチル　・・・　ブライアン・コックス

クレメンタイン・チャーチル　・・・　ミランダ・リチャードソン

（その他のキャスト）
　エラ・パーネル　　ジョン・スラッテリー　　ジェームズ・ピュアフォイ　　ジュリアン・ウェイダム　　リチャード・ダーデン　　ダニー・ウェブ

　■コピー

史上最大の作戦に最後まで抵抗した男の知られざる苦悩と真実。

　■Ｌｉｎｋ

http://churchillnormandy.ayapro.ne.jp/

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