純平、考え直せ

　これは、奥田英朗による同題小説を、森岡利行監督が野村周平主演で映画化したもの。
　いつか一人前の男になることを夢見るチンピラの純平が、鉄砲玉になることを命じられ、決行に至るまでの最後の３日間を描きます。
　
　歌舞伎町のチンピラ、坂本純平は、ある日、組の幹部から対立する組の幹部のタマを獲って来い、と拳銃を渡される。
　これで一人前になれる気負い立つ純平だが、偶然出会った闇金で事務員として勤める加奈と一夜を共にした際、ついつい、“鉄砲玉”となった事を明かしてしまう。
　加奈は、ＳＮＳにその事をアップ、ＳＮＳ上では様々な意見が交わされる一方、純平は加奈と過ごす時間の中で、時に決断が揺らいで行く。
　しかも、組は純平を捨て駒と見ており、信頼していた兄貴分もその事を承知していた、と言う事を知って……

　内容としては「ヤクザ」と言うよりも「任侠」に憧れる、見た目よりも古臭い男の純平が、現実に翻弄され、夢破れ、傷ついて行くと言う、まるで、アメリカン・ニューシネマのような内容。
　何とも無情で、やるせない気にもさせる内容になりかねない映画に、正に天使のように舞い降りた、ヒロイン・加奈の脳天気なまでの無邪気さと、それ故の真っ直ぐな瞳が彩りを添えす。そんな加奈を演じるのは柳ゆり菜で、思っていたよりもいい脱ぎっぷりには感心。
　また、現在の映画らしい所として、２人の行動が加奈のＳＮＳへの書き込みによって多くの目に晒されてあれこれと書き込みがされる一方で、その書き込みが全く純平へ影響を与えない事、そして、その書き込みが、書き込んだ人の人生を変える方に働く、と言うのも面白い着眼点。
　ラストシーンの抑えた描写も、やたら感動をウリにする昨今の映画と比べ好意を持てる部分です。

　あと、この映画、現代版の「チ・ン・ピ・ラ」ではないか、と思ってしまったり……　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

森岡利行

　■出演

坂本純平　・・・　野村周平
山本加奈　・・・　柳ゆり菜

（その他のキャスト）
　毎熊克哉　　岡山天音　　佐野岳　　戸塚純貴　　佐藤祐基　　藤原季節　　日向寺雅人
　森田涼花　　木下愛華　　やしろ優　　下條アトム　　二階堂智　　片岡礼子

　■コピー

ふたりの青春、
あと３日――

　■Ｌｉｎｋ

http://junpei-movie.com/

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