クリミナル・タウン
CRIMINAL TOWN

　これは、「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートと「キック・アス」シリーズのクロエ・グレース・モレッツが共演した犯罪サスペンス。
　原作はアメリカのヤングアダルト小説（日本で言うライトノベル）で、監督は「ヒッチコック」のサーシャ・カヴァシが務めています。

　ワシントンＤ．Ｃで銃撃事件が発生、高校生のケビンが銃殺される。
　警察は、事件は麻薬を巡るギャング同士の抗争と見るが、優等生だったケビンが麻薬に関わって殺されるなどありえないと考える親友のアディソンは、彼の名誉を取り戻すため、幼馴染のフィービーと共に独自に事件を追い始めるが……

　この物語、主人公であるアディソンの行動に全く共感出来ず、どうにも物語に入れませんでした。
　一応、アディソンの母親が死去し、その際、彼が何も出来なかった事から、友人の死に際に何もしない訳にはいかない、と思う気持ちが彼を動かしている、と説明されるのですが……これが、どうしてそうなるのか理解し難く、どうにも物語に入れません。
　しかも、物語が進むにつれ、警察の方が正しかったと判るに至っては、物語としては完全に迷走。これでは主人公に感情移入のしようなく、意味のない事に拘って、友人の汚点を不必要に明るみに出し、己自身をも危険に晒す事になるのを呆れながら見るしかない――主人公の喪失感や無力感の代償行為としての行動を描くとすれば、もっと別の形があったのでは、と思ってしまいますし、やりようによっては、真っ当な青春映画にも出来たでしょうに……
　
　クロエ・グレース・モレッツは可愛く撮れているし、アンセル・エルゴートとの初々しいカップルの恋愛模様など、いかにも青春映画らしく好感の持てる描写もあるだけに、この、主人公の動機の判り辛さ、更に、麻薬犯罪に殺人と言う題材の深刻さが、この物語が本来持っていた青春映画的要素を台無しにしてしまっているように思います。　
　

　（２０１８年　８月２５日　シネマジャック＆ベティにて）

（作品データ）

　■監督

サーシャ・カヴァシ

　■出演

アディソン　・・・　アンセル・エルゴート

フィービー　・・・　クロエ・グレース・モレッツ

（その他のキャスト）
　デヴィッド・ストラザーン　　キャサリン・キーナー

　■コピー

真実が潜む場所は、どこだ。

　■Ｌｉｎｋ

https://gaga.ne.jp/criminaltown/

［戻る］