これは、ジョイス・キャロル・オーツの短編小説をフランソワ・オゾン監督が大胆に翻案したサスペンス。
　主演は、フランソワ・オゾン監督の「１７歳」でも主演を務めたマリーヌ・ヴァクト。

　原因不明の腹痛に悩まされていたクロエは、精神分析医ポールの元を訪れた。そのカウンセリングにより痛みから解放されたクロエはポールと恋に落ち、同居を始める。
　ある日、クロエは街でポールそっくりの男と出会う。女性と親しげにしているその様子にポールの浮気を疑い、男を追ったクロエは、男がルイと言う精神分析医で、ポールの双子の兄弟だと言う事を知る。
　何故、ポールはルイの事を隠すのか……クロエはポールには秘密でルイの診察室に通うようになり……

　この映画、「強迫症状」、「転移」、「分身」と言った精神分析のモチーフを取り入れて描く、エロティック・サスペンス。
　人の「心」に潜む闇を引き出す為に、人の持つ、感情や本性が曝け出されるセックスを描くと言うのも面白い工夫――ある意味でありきたりなのかも知れませんが。
　勿論、中性的で、時に倒錯的でもあるマリーヌ・ヴァクトの美貌とヌードも見物です（しかし、「１７歳」の時には豊かだったマリーヌ・ヴァクトの胸がぺったんこ……「１７歳」の時に盛ってなければ減乳した？）し、同性愛者のフランソワ・オゾン監督だけに、男女のセックスシーンがエロティックと言うよりも、サスペンスであり、時にバイオレンスであるのも興味深い。

　物足りなかったのは最後のオチで、ここは最後まで精神分析的に分類をして欲しかった所です。
　ドンデン返しをして、後の解釈は観客に委ねるとした終わり方には拍子抜けしました。
　（ただ、最後のアレにはドキリとさせられましたが）　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

フランソワ・オゾン

　■出演

クロエ　・・・　マリーヌ・ヴァクト

ポール／ルイ　・・・　ジェレミー・レニエ

（その他のキャスト）
　ジャクリーン・ビセット　　ミリアム・ボワイエ　　ドミニク・レイモン

　■コピー

私が愛した男は、何者なのか。

　■Ｌｉｎｋ

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