これは、世界の名峰に挑む登山家やアスリートたちを追ったドキュメンタリー。

　荘厳なオーケストラ演奏をバックに、エベレストやモンブラン、デナリなど世界屈指の難関峰に挑む登山家や、ロープを付けずに垂直の岩壁を登頂するクライマー、、グランドキャニオンでマウンテンバイクに乗りながらのスカイダイビングや、時速３６０キロに達すると言われるウィングスーツでの山頂からの滑空テーブルマウンテンの間にワイヤーを張って綱渡りをする姿など、息を呑む、と言うか身が竦むような映像が続きます。
　ただ、この映画、そんなシーンばかりを見せる予告編映像はいささかミスリードをさせるもの。山を舞台にしたエクストリームスポーツを紹介する映画か、と思うとそうした描写は一部でしかなく、映画がテーマとするのは母なる地球が数億年もの歳月を費やし創り上げてきた岩と氷からなる造形である山と、山に向き合う人々の姿を通して、神々の座であった山々が時代の移り変わりの中で人々の心の中でどのように変容して来たのかを描くものなのです。（なので、原題は単に「ＭＯＵＮＴＡＩＮ」です）
　そうした意味では、肩すかしを喰わされたような気になる人もいるかも知れません。

　古来、尊厳たる山は神々の居場所であり、同時に悪魔の居場所。
　高山で空気が薄くなり、力を奪われて行くのは古の人々には悪魔の技としか思えなかったでしょう。また、悪魔が山羊の顔を持つ、と言う事にあらためて納得してしまったり……
　また、高所恐怖症の人には見ていられないようなシーンの連続で、高いところが平気な自分でも、ぞくっとするようなシーンが幾度もありました。　
　

　（２０１８年　７月２９日　新宿武蔵野館にて）

（作品データ）

　■監督

ジェニファー・ピードン

　■出演

ナレーション　・・・　ウィレム・デフォー　

　■コピー

生きていることを実感する。だから人は山に夢中になる。

　■Ｌｉｎｋ

https://crazy4mountain.com/

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