マイナス２１℃

　これは、厳寒の雪山で遭難した元プロアイスホッケー選手が生還した実話に基づき、「ニード・フォー・スピード」のスコット・ウォー監督がジョシュ・ハートネット主演で映画化したもの。

　元プロアイスホッケー選手のエリックは、シエラネバダ山脈のスキー場でスノーボードを楽しんでいる最中、立入禁止区域となっている林中に踏み込む。折り悪く、吹雪が来てエリックは視界を失い、道に迷ってしまう。
　食料も装備もなく、手元にあるのはスノーボード１枚と携帯電話とラジオのみ。エリックは山中を彷徨って……

　これは実際に起きた遭難譚なのだけど、物語としてはプロのプレッシャーに負けて薬物に溺れた男の再生譚になっているのがポイント。
　まぁ、それまで築き上げた人生を棒に振った程の薬物依存を断ち切るには、この位の試練が必要だった、と言う事でしょうか……
　それにしても、凍った湖に転落、びしょ濡れになった衣服を乾かさないと凍死する、と、真冬の雪山で全裸になると言う判断も凄いし、凍傷で壊死した自分の足の肉を食って飢えを凌ぐ、と言うのも凄まじい。
　夜間無駄に動き回って体力を失わないよう、スノーボードで雪を掘り、雪洞を作って仮眠を取る（しかも、これが日を重ねるうちに巧緻なものになっていく）など、経験に基づく雪中サバイバル描写には興味深いものもありますが、それでも、氷点下の中、８日間にも及ぶ彷徨を生き延びたのはプロアスリートの体力あっての事でしょうか……

　ただ、この映画、日本では妙に評価が厳しいように思います。
　これはやはり、薬物中毒の主人公が、これを機に立ち直る事が出来た、と言うのが気に入らないのでしょう……日本では「薬止めますか、人間止めますか」と言うように、薬物に一度手を出したら、「もう人間ではない」と言う“潔癖社会”だからでしょうか。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

スコット・ウォー

　■出演

エリック・ルマルク　・・・　ジョシュ・ハートネット

（その他のキャスト）
　ミラ・ソルヴィーノ　　セーラ・デュモント　　ジェイソン・コットル

　■コピー

食糧なし、装備なし
極限の８日間

　■Ｌｉｎｋ

http://minus21c.com/

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