これは、アメリカのコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のディレクター、デイブ・マッカリーが監督した映画。
 主演のカイル・ムーニーを始め、「サタデー・ナイト・ライブ」に出演するコメディ俳優が多く出演しています。
 
 ジェームスは、外界から遮断されたシェルターで両親と25歳になるまで暮らしてきた。毎週届くSF冒険ドラマ「ブリグズビー・ベア」を見て育ち、現在では「ブリグズビー・ベア」の世界についての研究に力を注いでいた。
 ある日、シェルターに踏み込んで来た警察官に、両親だと思って一緒に暮らしてきた男女が逮捕され、2人が自分を誘拐して監禁していたことを知らされるジェームス。
 25歳にして、初めて外の世界に出されたジェームズだが……

 誘拐・監禁されて外の世界を知らない子供の物語として、連想したのは「ホーム」。
 あの少年のように、ジェームズもまた外の世界に向き合うのですが……そんなジェームズももう25歳。しかも、子供の頃からTVの中の「ブリグズビー・ベア」しか知らず、「ブリグズビー・ベア」だけに意識を向けて来たジェームズは筋金入りの「ブリグズビー・ベア」オタクになっていた、と言うのが、この映画ならではの要素。
 そして、誘拐犯の男が作っていた「ブリグズビー・ベア」の新作がもう観られない、と知ったジェームズは自らその続編を作ろうとするのです。

 もの作りをする映画はわくわくさせられるものが多いのですが、それが映画となれば尚更。
 そして、その映画製作を通じて、ジェームズは学び、友を作り、成長して行く……それこそが正に人生であり、前を向いて、生きる喜びを謳歌するかのようなジェームズの表情に、実の両親が心を動かされるのも当然でしょう。
 また、元の「ブリグズビー・ベア」自体、個人で作っていたものなので手作り感が強く、それはジェームズが作る続編にしても同じなのですが、これがなかなかいい味を出しています。

 この映画、家族の有り様に加え、それがどんなものであれ、人生の中で積み重ねて来たものがその人を作り、そして、それを土台にしなければ前へと進む一歩を踏み出せない、と言う事を描いて、教育、そして人生――成長し、時に“卒業”する――について考えさせられる内容を含んだもの。
 出演しているのは馴染のない俳優ばかりだし、ちょっと取っつき難さはありますが、これは多くの人に観て欲しい、よい映画だと思いました。
 

 (2018年 6月 30日 にて)


(作品データ)

 ■監督

デイブ・マッカリー

 ■出演

ジェームズ・ポープ ・・・ カイル・ムーニー

(その他のキャスト)
 マーク・ハミル  グレッグ・キニア  マット・ウォルシュ  クレア・デインズ

 ■コピー

僕には、君がいる。

 ■Link

http://www.brigsbybear.jp/

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