恋は雨上がりのように

　これは眉月じゅんの同題コミックを「帝一の國」の永井聡監督が実写映画化したもの。

　高校２年生の橘あきらは、将来を期待された陸上短距離選手だったが、アキレス腱負傷により休部を余儀なくされていた。
　失意の日々の中、あきらは偶々雨宿りをしたファミレスの店長・近藤に優しく声をかけられた事から、放課後、そのファミレスでバイトするようになる。
　やがて、あきらの好意は恋心に変わって行くが、近藤は、クールな佇まいのあきらから好かれているとは露程にも思っていなかった。
　だが、このあきらの想いは２人の将来を変えて行く事になる……

　これは、１７歳の女子高生が、４５歳の中年男に恋する話で……決して少女マンガ的キラキラ世界ではなく、叶わない夢を抱えて燻っている中年男が、躓いたまま立ち上がれないでいる少女の再起に力を貸す、と言う話。これは意外と中年向けではないでしょうか。

　あきら役は小松奈菜。これまで彼女にはあまりいい印象がなかったのですが、本作の彼女は本当によかった。
　あの大きな三白眼の目が印象的な顔立ちは原作コミックのイメージにぴったりですし、体系も細身なので、陸上短距離選手、と言うイメージにも合い、実際に疾走シーンも決まっています。
　それにしても、彼女の独特の冷たい三白眼、あの目つきで見つめられたら、本人がどう思っていようとも、
　「ゴミを見るような目だったなぁ……」
　と言う近藤の受け止め方も仕方ない所でしょう――あきら自身は熱い恋心を込めたつもりだったのですが。
　また、受けに回った近藤役の大泉洋は、軽妙な中にも大人の落ち着きを見せており、好印象。

　土砂降りの雨に打たれたような気持ちでいる時、駆け込んだ軒先は、君を安心させるだろうけど、そこはいつまでも君のいる場所じゃない……と、そっと背中を押すような物語には感動します。
　ただ、望むならば、躓きながらも伸びて行く若い力に感化された中年男の頑張りも見せて欲しかった所ですが。

ＰＳ
　この映画、決して映画のせいではないのですが、公開直前のＴＯＫＩＯの山口メンバーによる不祥事のせいで、中年男と女子高生の恋、と言うだけで「気持ち悪い」とバッシングされる事になってしまったは気の毒でした。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

永井聡

　■出演

橘あきら　・・・　小松菜奈

近藤正己　・・・　大泉洋

（その他のキャスト）
　清野菜名　　磯村勇斗　　葉山奨之　　松本穂香　　山本舞香
　濱田マリ　　戸次重幸　　吉田羊

　■コピー

夢を失った１７歳、夢を忘れた４５歳。
　ふたり、人生の雨宿り中――

　■Ｌｉｎｋ

http://koiame-movie.com/

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