ミッドナイト・サン
タイヨウのうた

　これは、２００６年に公開されたＹＵＩ主演の映画「タイヨウのうた」をアメリカでリメイクしたもの。
　監督のスコット・スピアーも劇場映画はこれが初めてと言う新人で、その他、スタッフ・キャストも若手中心。位置づけとしては若手の腕試しの習作、と言う所でしょうか。

　難病の色素性乾皮症（ＸＰ）を患う１７歳のケイティ。日光に当たることが出来ない病いのため学校にも通えず、昼間は家で窓の外を眺めながら過ごしていた。
　そんなケイティの楽しみは、通学や水泳教室に通う為に家の前を通る、片思いの少年、チャーリーの姿を目で追うことと、夜の駅でギターを抱え歌うこと。
　高校の卒業式の夜、駅で歌っていたケイティはチャーリーと出会って……
　
　ケイティを演じるのは「シャキラ！」で人気となった若手人気俳優＆歌手のベラ・ソーン。いかにもアメリカのティーンアイドル、と言う感じでちょっとケバく、作品との相性はイマイチ。
　恋人となるチャーリー役にはアーノルド・シュワルツネーガーの息子、パトリック・シュワルツネーガー。こちらは父親譲りの体つきはいかにも水泳選手っぽいのですが、声も親父譲りの低音で、これまた爽やか青春恋愛モノには似合わない声だなぁ……

　内容ですが、元々、工夫のない難病＆純愛ものと批判された「タイヨウのうた」。それをほぼそのまま仕立て直したもの。強いて言えば、チャーリーの挫折からの再起を絡めている辺りが、オリジナリティを出しているくらいでしょう。
　また、ベラ・ソーンはミリオンヒットを飛ばしている歌手ではあるのですが、実際にストリートシンガーだったＹＵＩほどに街角で歌うシーンが様にならず、何より歌声に力がないのが惜しい。しかも、歌唱シーンも少なく、映画の中で歌と音楽を上手く使えていないのがもどかしい感じです。
　また、ＸＰを随分綺麗に描いており、これまた「現実と違う」と批判されるのではないでしょうか？実際の症例を簡単に調べてみる事が出来てしまう現代の難病ものとしては、もう少しリアルな描写も必要では、とも思いました。

　確かに、オリジナル自体もそうなのですが、物語としては凡庸であるものの音楽の力を借りて観客を泣かせる感動的な映画ではあり、この種の映画としては及第点を与えられる仕上がりにはなっています。それだけに、無難にまとめるのではなく、この映画ならではの挑戦と言うか、工夫を見せて欲しかったように思います。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

スコット・スピアー

　■出演

　ケイティ・ブライズ　・・・　ベラ・ソーン

　チャーリー・リード　・・・　パトリック・シュワルツェネッガー

（その他のキャスト）
　クイン・シェパード　　ティエラ・スコビー　　ポール・マクギリオン　　ケン・トレンブレット　　スレイカ・マシュー　　ロブ・リグル

　■コピー

この一瞬は、タイヨウよりも輝いていた

　■Ｌｉｎｋ

http://midnightsun-movie.jp/

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