ラプラスの魔女

　これは東野圭吾の同名小説を、「ヤッターマン」以来のタッグとなる三池崇史監督・櫻井翔主演で映画化したもの。

　温泉地の屋外で硫化水素吸引による２件の不審死が連続して発生。発生状況は類似し、被害者は地人関係にあった。事故ではなく、他殺と睨んで捜査を始めた警察から調査を依頼された地球化学の専門家である大学教授・青江は事件現場を念入りに検証し、自然科学的見地から事件性を否定する。
　しかし、その青江の前に“魔女”と名乗る少女が現われて……

　「ラプラスの悪魔」とは、「ある瞬間における全ての物質の力学的状態と力を知る事が出来、そのデータを解析出来る知性が存在すれば、この知性にとっては、これから先の将来において不確実なことは何もなくなる」と言うラプラスの主張に基づく概念ですが……この物語、その“ラプラスの悪魔”の描写がどうにも――まぁ、これは原作も同様なので、必ずしも映画の責任ではなのですが、「全ての物質の力学的状態と力」をどうやって計測しているのかも判らない、そんな「決定論」に必須の条件を確認することなく、それを信じてしまう人物が大学教授と言う設定はやはり納得出来るものではありません。
　しかも、この主人公となる大学教授・青江は物語の傍観者でしかなく、謎解きもしなければ、狂言回し役ですらなく（それならば事件を追う刑事を狂言回しにした方がいいでしょう）、一体何の為の主人公なんだか。（ある意味、斬新と言えるかも知れませんが）

　謎解きのミステリーの面白さはなく、サスペンスも盛り上がらず、アクションは見せ場なし。ＳＦの面白さもなければ、三池監督ならではのケレン味もなく、中心人物が映画人である、と言う設定も活かさないでは、一体、何のための映画化やら。
　櫻井翔目当ての女性客を動員して、それなりに客は入っているようですが、この内容では、櫻井翔、もしくは広瀬すずを観賞する以上のものではないような……
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

三池崇史

　■出演

　青江修介　・・・　櫻井翔

　羽原円華　・・・　広瀬すず

（その他のキャスト）
　福士蒼汰　　志田未来　　佐藤江梨子　　ＴＡＯ　　玉木宏　　高嶋政伸
　檀れい　　リリー・フランキー　　豊川悦司

　■コピー

凶器は知性×動機は愛×殺人を証明せよ

　■Ｌｉｎｋ

http://laplace-movie.jp/

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