機動戦士ガンダム
THE　ＯＲＩＧＩＮ
ジ・オリジン

誕生　赤い彗星

　これは、安彦良和による同名コミックから、ＴＶシリーズ第一作に繋がる前日譚をアニメ映画化したシリーズの完結編。

　宇宙世紀００７９年１月。サイド５“ルウム”宙域で幕を開けたルウム戦役は、戦力に勝る地球連邦軍が有利な状況で推移したが、これはジオン宇宙突撃機動軍を率いるドズルの作戦であった。
　ドズルはティアンム艦隊と粘り強く戦いながら、連邦軍のレビル将軍率いる本隊を戦場に引き込み、そこにジオンのモビルスーツ隊が襲いかかった。そして、レビル艦隊は壊滅、レビル将軍は捕虜となってしまう。
　シャアはこの戦いだけで戦艦３隻を含む多数の連邦軍艦艇を撃沈、“赤い彗星”の異名と共にその名を轟かせる事になる……

　今回のエピソードはルウム会戦の後半戦、それから南極条約締結に至る駆け引き、となります。これで「１年戦争」の開戦を描き、エンドロールの後で、Ｖ作戦始動が描かれ、これでＴＶシリーズ「機動戦士ガンダム」に繋がります。
　ＣＧの多用によってリアルに、精密さと共に重厚さを増したメカアクション、そして、かつて「絵が芝居をする」と賞賛された、安彦良和アニメの真骨頂と言えるキャラクターの微妙な演技、と見応えのある内容はこれまでと相変わらずですが、今回、前半は戦闘シーンの連続。しかも指揮を執るのがドズルなので、爆発音の連続に吠えるドズルと、もうやかましいったらありゃしない。

　このシリーズの特色としては、戦争と言う極限状況に翻弄される人々を描くのが富野由悠季の本領であるのに対し、これまでも歴史物作品を多く手掛けて来た安彦良和は、その戦争を起こす人々を中心に描いている事。物語が描くのは、ザビ家と、そしてジオン・ダイクンの遺児であるシャアなのです。
　（実際、ザビ家の人々は全て安彦良和が原画を手掛けていると言うことで、力の入れようは判ると言うもの）
　それはそれで面白いのですが、やはり、「ガンダム」としては“富野節”の印象的な台詞が聞けないのが物足りないような……

　これだけのものを見せられると、この作画クオリティで「機動戦士ガンダム」劇場版三部作だけでよいですから、作画を「ＯＲＩＧＩＮ」クオリティに差し替えたリメイク版を製作してくれないものだろうか、と切に願いたくなります。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

安彦良和

　■出演

　シャア・アズナブル　・・・　池田秀一

（その他のキャスト）
　古谷徹　　浦山迅　　銀河万丈　　三宅健太　　渡辺明乃　　柿原徹也　　一条和矢　　松田健一郎　　土屋トシヒデ
　中博史　　山崎たくみ　　潘めぐみ, 古川登志夫, 成田剣, 福圓美里, 藤村歩, 中西英樹, 田中美央

　■コピー

神のいない第二幕が始まる

　■Ｌｉｎｋ

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