トゥームレイダー
ファースト・ミッション

　これは、世界的に人気のアクション・アドベンチャーゲーム「トゥームレイダー」を映画化した、伝奇アクション。
　このゲーム、２００１年にアンジェリーナ・ジョリー主演で映画化されているのですが、本作は、アリシア・ヴィンキャンデルを主演に、主人公ララ・クロフトが“トゥームレイダー”になるまでを描く、最近流行の「エピソード：０」と言う趣の映画になっています。

　ララ・クロフトは、資産家である父とは距離を置き、普通の女子大生として暮らしていたが、その体内には冒険家であった父親譲りの未知なる世界への憧れがあった。
　父の死後、彼女へ遺されたのは、ある極秘ミッション――それは、伝説の島“ヤマタイ”に隠されたヒミコの“幻の秘宝”を封印すること。もし、その秘宝が秘密組織に渡れば、人類が滅びるという。
　世界を救うため、ララは誰よりも早く“幻の秘宝”にたどり着くことが出来るのか……

　この映画、ゲームが元になっているだけに、主人公であるララ・クロフトの前に“謎”や“罠”と言った課題が出され、それをクリアする事で物語が進んで行く、と言うもの。
　それを、現在、旬の美人女優、アリシア・ヴィッキャンデルが体当たりのアクションで挑んで行く、と言うのが見せ場となるのですが……映画は、冒険が始まる前に見せる、冒頭部分のアクション――総合格闘技や、ロンドンの街中での自転車によるチェイスが面白く、肝心の冒険に入ってからの方が失速する、と言うと言う体たらく。
　要するに、冒険の中で提示される課題、これがどうにも現実離れしていて、子供騙しの感があるのです……勿論、自分で頭を捻り、課題をクリアするゲームの中では気づかないものでしょうけど、映画になって、他人が謎解きするとなるとどうにも気になってしまいます。

　物語の方もスケールの広がりが感じられず、特にヤマタイに上陸してからは本当に小さな話になってしまう――例えば、“秘宝”が間一髪で持ち去られ、ロンドンで真の敵と対峙するとか、工夫は出来たと思うですが――のも残念ですし、数千年前の石と木で出来た構造物が昨日作られたかのように滑らかに作動する嘘くささや、孤島に７年間も男だけで閉じ込められていた男たちが、若い女性が現れたと言うのに、肉体労働させるだけ、と言うあり得ない展開（最近の映画はレイティングを気にして、悪党までもが妙に行儀良くって面白くない）とか、正にお子様向けでご都合主義な部分にもがっかり。
　また登場人物が、謎解きには知恵が回るものの、何れも物わかりが悪いのにも苛々します。　

　確かに、アリシア・ヴィッキャンデルは魅力的ではあるし、彼女はアクションも頑張って見せ場も作ってはいるのだけど、アンジェリーナ・ジョリー主演でもヒットしなかった以前の映画同様、本作もシリーズ化出来る程のものではないように思います。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

ロアー・ウートッグ

　■出演

ララ・クロフト　・・・　アリシア・ヴィキャンデル

（その他のキャスト）
　ドミニク・ウェスト　　ウォルトン・ゴギンズ　　ダニエル・ウー　　クリスティン・スコット・トーマス　　デレク・ジャコビ　　ハナ・ジョン＝カーメン

　■コピー

　■Ｌｉｎｋ

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