これは、「リトル・ミス・サンシャイン」の製作陣によるちょっと変わった家族の物語。
　この映画、ハリウッドでトップクラスの美少女、エル・ファニングがすっぴんで脇毛まで生やし、“１５歳の男の子”を演じる事が話題となっていますが、これがなかなかの男の子っぷり。まぁ、エル・ファニングは背も高いし、１５歳くらいの男の子はまだごつくなる前なので、違和感はあまりありません。また、相変わらず見事な役作りで、筋トレにて筋肉をつけ、スケボーも乗りこなして見せてくれます。
　邦題はそんなエル・ファニングに焦点を当てたものですが、原題は「３　ＧＥＮＥＲＡＴＩＯＮＳ」で、祖母・母・娘の三世代を描くもの。キャストも、祖母にスーザン・サランドン、母にナオミ・ワッツと名優揃いです。

　ニューヨークで暮らすレイは、シングルマザーの母と、レズビアンの祖母とそのパートナー、と言う三世代で同居している。
　レイは性同一性障害で、女として生まれたものの４歳で男であることを自覚し、１６歳になったのを機に男になるためのホルモン治療を受けることを決意する。しかし、治療には両親のサインが必要。母のマギーは、音信不通だったレイの父親を探し出すが……

　物語は、レイが男になる決意と、その為のホルモン治療を認めるか否かの両親の決断が中心となります。
　レイの決意は固いのですが、それでも喧嘩をした後、好きな女の子が喧嘩相手を「女の子を殴るなんて最低」と非難した事にショックを受けたり、祖母からは「女の子が好きならレズビアンでもいいじゃないか」と言われたりで、最後まで気を持たせるのはさすが。
　そして、両親が腹をくくるまでの課程の中で、母・マギーが逃げていた過去と向き合い、“家族”を再構築して行く事になるのですが……ここにマギーの親離れ物語はいささか迷走気味。この辺り、もう少し上手く転がせなかったものか、と思います。
　勿論、メインキャスト３人の演技力には文句なく、ヒューマンコメディとしてもよく出来てはいるのですが……

　それにしても、親子孫、三世代で最も悩み、ドタバタするのがアラフィフのマギーとは……「四十にして惑わず」とは言うものお、現代においてはむしろ「四十・五十は洟垂れ小僧」と言うのが相応しい。まだまだ迷い多き世代なのだよなぁ……としみじみ実感してしまいました。
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督・脚本

ギャビー・デラル

　■出演

レイ　　・・・　エル・ファニング
マギー　・・・　ナオミ・ワッツ
ドリー　 ・・・　スーザン・サランドン

（その他のキャスト）
　テイト・ドノヴァン リンダ・エモンド サム・トラメル

　■コピー

本当は男の子のレイ、恋多きシングルマザー、レズビアンのおばあちゃん。人生の途中にある、家族の物語。

　■Ｌｉｎｋ

http://aboutray16-eiga.com/

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