ジオストーム
−ＧＩＯＳＴＯＲＭ−

　これは、「インディペンデンス・デイ」の脚本を手掛けたディーン・デヴリンが自ら監督を務めて製作した、ＳＦディザスター・アクション。

　世界各地で頻発する異常気象に対応するため、人類は、アメリカと中国を中心とした世界１７ヵ国の協力により、気象制御衛星ネットワークを構築、それらを維持・管理する国際宇宙ステーション「ダッチボーイ」を完成させた。
　完成後はその管理をアメリカが行って来たが、管理権の国連への移譲を目前に控えたある日、アフガニスタンの砂漠地帯で村全体が凍りつく事件が発生。
　気象制御衛星の深刻なトラブルと考えた管理官のマックスは、「ダッチボーイ」の建造に携わった科学者でもある兄、ジェイクを事故調査の為に送り出すが……

　この映画、予告編で描かれる失笑ものの災害シーン（海が波しぶきのまま凍り、人々も瞬時に凍り付く）に、科学的考証０のバカ映画と思って当初は見送るつもりでいたのですが……ひょんな事で期待もせずに見始めたら、これが意外に面白い。
　災害をスペクタクルとして描くディザスタームービーと言うよりは、その災害を生み出した犯人捜しのミステリーと言う趣の方が強いのです。
　それこそ、兄弟以外は誰も信じられない所から始まって、誰が敵なのか判らない状況で、情報を集め、兄弟で連携し、信じられる味方を増やして行く展開はスリリングですし、クライマックスでは派手なカーチェイスも入れられていたりで、アクション・サスペンスとしても見所満載。
　確かに、科学的におかしな描写も多くて思っていた通りツッコミ所は満載ですし、巨額の製作費をつぎ込んだと言う割にはしょぼい部分もある映像だったりもする、ローランド・エメリッヒ監督に通じる部分はあるにせよ、これはちょっと見直しました。

　キャスティングの方も意表を突くもので、ムキムキの脳筋男のジェラルド・バトラーが科学者とか、マフィアの幹部がお似合いのアンディ・ガルシアが大統領とか、最早、何を考えているのやら、と言うレベル。

　それにしても、アメリカ内の政争の道具として世界の気象を使い、アメリカに１９４５年当時の威信を取り返す為に敵国にダメージを与える（そして災害を受けるのがアフガニスタン、香港、日本、ロシア、インド、ＵＡＥと言うのはちょっと露骨？）と言う、一昔前であれば一笑に伏せたような設定も、現実に、アメリカの発展の妨げになるとしてパリ協定を脱退し、アメリカ・ファーストを謳うアメリカ合衆国大統領がいる現在では、笑えないものになってしまっているのは、タイムリーだったのかそうでなかったのか、判断が分れる所ではないでしょうか。　
　

　（２０１８年　１月２２日　ＴＯＨＯシネマズ上大岡にて）

（作品データ）

　■監督

ディーン・デヴリン

　■出演

　ジェイク・ローソン　・・・　ジェラルド・バトラー

　マックス・ローソン　・・・　ジム・スタージェス

　サラ・ウィルソン　・・・　アビー・コーニッシュ

（その他のキャスト）
　アレクサンドラ・マリア・ララ　　ダニエル・ウー　　エウヘニオ・デルベス　　エド・ハリス　　レナード・デッコム　　アンディ・ガルシア

　■コピー

ある日、天気が支配された。

　■Ｌｉｎｋ

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