ネイビーシールズ
ナチスの金塊を奪還せよ！

　これは、リュック・ベッソンが製作と脚本を務めた戦争冒険活劇。

　１９９５年、サラエボ。米海軍特殊部隊ネイビーシールズの指揮官、マット・バーンズ率いるチームは、いざ戦場に出れば派手な暴れっぷりを見せて、敵からも目をつけられる存在であると共に、事態収拾に当たる上官のレヴィン少将を悩ませる存在だった。
　そんなチームの副官、スタントンがサラエボで出来た恋人、ララから耳寄りな話を聞かされる。
　第二次大戦中にナチス・ドイツがフランスから奪った金塊がサラエボ郊外の湖に沈んでいると言うのだ。その総額は３億ドル。それだけあれば、荒廃したサラエボの復興に役立つ、とララはスタントンに金塊の回収を依頼。だが、その湖は敵対勢力と小競り合いが続く戦場のど真ん中にあって……

　この映画、戦争の最中の軍隊による宝探しを描いたもので、古くは「戦略大作戦」、最近では「ザ・マミ−」もそうだったりしますが、設定としてはお馴染みのもの。ただ、その舞台に選ばれたのが、未だ記憶に新しい悲惨な民族紛争が繰り広げられたボスニア・ヘルツェゴビナ紛争と言うのは如何なものか、と思いますが……
　ただ、そんな部分はひとまず置いて、映画としてはこれはなかなか悪くない。
　冒頭の潜入からの要人誘拐に続くど派手なアクションで観客を引き込みながら、主人公となる５人のチームの凄さを見せ、それから、お宝奪還作戦立案と段取りをテンポよく見せて行き、一度は断念させながらも起死回生のアイデアでお宝へ……と言う展開は定番通りながらよく出来ています。

　アクションとして、派手なのはやはり冒頭のサラエボ市街戦で、戦車による逃走と、意表を突く危機からのい脱出と、映画コピーの「ド派手にやろうぜ！」の“ど派手”さは、ここでほぼ全部使い切る潔さ。
　それ以降、物語の中心となるのは湖底のお宝だけに、水中での描写が多くなります――この辺り、ネイビー・シールズが海軍の特殊部隊で、水陸両用作戦を主に、アンダー・ウォーターの作戦行動を得意とする、と言う所に注目したのでしょうが、派手さに欠ける事になってしまったように思いますし、クライマックスなど夜間の水中なので、見通しが効かず、判り難いものになってしまったのもエインターテイメント作品としてはいただけませんが……まぁ、そこはハリウッドの大作とは違い、仕方のない所でしょう。
　確かに、湖底に沈んだ村の様子など、ビジュアル的には印象的な所もありますし、サスペンスの盛り上げもあって退屈はしませんし、最後には、暴れん坊共の尻ぬぐいをきっちりやって帳尻を合わせてしまうＪ・Ｋ・シモンズ演じるレヴィン少将の采配が小気味よく決まり、綺麗に収める辺りは、リュック・ベッソンらしく、そつのない仕上がり。
　映画コピーのような、「ド派手」な内容を期待すると肩透かしを食うかもしれませんが、それでも、これは活劇としてはなかなかのものだと思います。
　

　（２０１８年　１月１４日　ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）

（作品データ）

　■監督

スティーブン・クォーレ

　■出演

　マット・バーンズ　・・・　サリバン・ステイプルトン

　スタントン・ベイカー　・・・　チャーリー・ビューリー

　ララ・シミッチ　・・・　シルヴィア・フークス

　ジェイコブ・レヴィン　・・・　Ｊ・Ｋ・シモンズ

（その他のキャスト）
　ジョシュア・ヘンリー　　ディアミッド・マルタ　　ディミトリー・レオニダス　　クレーメンス・シック　　ユエン・ブレムナー

　■コピー

ド派手にやろうぜ！

　■Ｌｉｎｋ

http://renegades.asmik-ace.co.jp/

［戻る］