これは、２０１６年に公開され、インド映画史上最高の興業収入を記録した英雄譚「バーフバリ」二部作の完結編。

　昔々、インドに栄えたマヒシュマティ王国。庶民として育った屈強な青年シヴドゥは、育ての親であるカッタッパから生誕の秘密を聞かされる。
　自分の父は伝説の英雄・バーフバリであり、その忠臣であったカッタッパの裏切りによって王座を追われ、命を落とした、と言う事、そして生母が未だに王宮に幽閉されている事を――
　シヴドゥは、バーフバリを名乗って母を奪還、やがて国母シヴァガミより王位継承権を認められて王国の王子となるのだった。
　だが、その一方で王位継承者と認められなかった従兄のバラーラデーヴァは虎視眈々と王位を奪うチャンスを窺っていた……

　この映画、「歴史ドラマ」とジャンル分けされてはいますが、その内容は、神話的世界におけるファンタジーのようなもの。
　主人公バーフバリの偉丈夫っぷりと怪力、そのアクションも超人的ですし、壮麗かつ巨大な王宮や、帆船が魔法（？）によって空を飛ぶ、と言うシーンまであるのですから……
　そんな感じで、これを歴史スペクタクルと見ると戸惑うと思いますが、ギリシャ神話的世界だと割り切ってしまえばこれはなかなか見事なエンターテイメント。
　極彩色の色彩、奇想天外なまでに壮大な描写は、正にかつての絵物語を最新技術でフィルムに写し出したかのよう。
　スローモーションを多用、構図にまで凝ったアクションシーンは、それこそ１枚の絵にしてもいいくらいに決まっているカットもあって、唸らされます。
　バーフバリを演じたブラバースは見事な肉体美を見せ、ヒロインのデーヴァセーナも気高くかつ妖艶なまでに美しい。
　また、インド映画らしく歌と踊りで物語を彩りつつも繋いでいくのも特色です。

　物語の方も神話的で親のドラマを子が再現、そして生き写しの孫も……と言う輪廻転生を強く感じさせる物語（これもインド的、と言う事でしょうか？）で、ちょっとくどさを感じたのと、王宮内の陰謀策術が結構見え見えで、それに引っかかるバーフバリも情けないし、思慮が足りずに流されやすいシヴァガミにも、割り切れないものを感じてしまったりもします。
　また、１４４分と結構長い映画ながら、全篇殆どがアクションかサスペンスか歌と踊りと言うハイテンションな展開なので、終盤に至ってさすがに疲れてしまったのも事実。
　（長い映画の多いインドでは問題ないのでしょうけど……）
　ただ、このスケールの大きさと、盛り沢山の内容……見事なエンターテイメントとなっている本作、その人気の理由にも納得でした。
　

　（２０１８年　１月 １日　ムービルにて）

（作品データ）

　■監督・脚本

Ｓ．Ｓ．ラージャマウリ

　■出演

　アマレンドラ・バーフバリ／シヴドゥ　・・・　ブラバース

　ディーヴァセーナ　・・・　アヌシュカ・シェッティ

　バラーラデーヴァ　・・・　ラーナー・ダッグバーティ

（その他のキャスト）
　サティヤラージ　　ラムヤ・クリシュナ　　タマンナー　　ナーサル

　■コピー

王を称えよ！

　■Ｌｉｎｋ

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