ＩＴ/イット
“それ”が見えたら終わり。
これは、スティーブン・キングの小説「ＩＴ」を映画化したもの。
アメリカでは大ヒット作となり、「エクソシスト」を抜いて歴代ホラー映画Ｎｏ．１となったのだとか。日本でもヒットとなり、映画館では当初予定期間を超えてロングラン上映されています。
物語の始まりは１９８８年秋、アメリカの田舎町デリー。
吃音症のせいもあって内気な少年ビル。彼の弟は大雨の日に出掛け、そのまま行方不明となった。それ以来、ビルは自分を責め、ひとり苦しんでいた。
その翌年、町では子供の行方不明事件が相次ぎ、夜間の外出は禁止され、漠然とした不安が人々の間に流れていた。そんな中、ビルを始めとする不良少年たちにイジメの標的にされている少年ら――ルーザーズ(負け犬）クラブのメンバーに、年上の少女ビバリーを加えた７人は、日々、不安を感じる時に“それ”に遭遇する。
“それ”はそれぞれの抱える“恐怖”の形をとっていた。このままでは、“それ”に飲み込まれて、次の行方不明者になってしまう……彼らは“それ”に立ち向かう事を決意するが……
人が最も見たくないもの、或いは悪夢を形にした“それ”の生み出す恐怖は確かに恐ろしい。しかし、映画の描写としては、過剰なショック演出なども少なく，抑制の効いたもの。ホラー映画の苦手な自分でも大丈夫でしたし、人によっては余り怖くないな、と言う印象を持つかも知れません。
しかし、この映画の魅力は、そんな“恐怖”だけではありません。
人によっては本作を「ホラー版『スタンド・バイ・ミー』」と評したりもするように、この映画は少年たちが自分を抑えつけるものを乗り越える為の一夏の冒険の体をとっており、青春映画としても魅力十分なのです。
乗り越えるべきものは、トラウマや、家庭内暴力、母親の過保護……そして、一歩踏み出す勇気。
少年たちは、“それ”に打ち勝つと同時に、抑えつけるものにも勝たねばならず、それを成し遂げるには、心ひとつにする友が必要だ、と言う物語は、ホラー映画らしく、血だらけで暴力的ではあるものの、正に青春映画ど真ん中の内容なのですから。
登場する少年たちはみな個性的で、尚且つおどおどした“イジメられっ子”オーラを出しているのがいい感じ。
また、紅一点のビバリーは、これはみんな憧れます。そんな彼女に、デブでオタクな転校生のベンは詩を送り、最後には勇気を振り絞って目覚めのキスまでするのだけど……それでも王子様には成れない、と言うのはちょっと痛かったです。（やはり、ここでも「ただし、イケメンに限る」か）
デリーを悲劇が襲うのは２７年周期ですから、“次”があるなら、２０１５年でビルらは４０過ぎの大人になっているでしょう。
これだけのヒットとなったので次は確実にあると思いますが……恐怖の根源に迫る事になると思う第２章も楽しみです。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
アンディ・ムスキエティ
■出演
ビル ・・・ ジェイデン・リーバハー
ビバリー ・・・ ソフィア・リリス
“それ” ・・・ ビル・スカルスガルド
（その他のキャスト）
ジェレミー・レイ・テイラー フィン・ウォルフハード ワイアット・オレフ チョーズン・ジェイコブズ ジャック・ディラン・グレイザー
ニコラス・ハミルトン ジャクソン・ロバート・スコット
■コピー
子供が消える町に、“それ”は現れる。
■Ｌｉｎｋ
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