| カンフー・ヨガ ＫＵＮＧ ＦＵ ＹＯＧＡ |
これは、ジャッキー・チェン主演、中国・インド共同製作によるアクション・アドベンチャー大作。
西安の博物館に勤める考古学者ジャックの元に、ある日、美人でヨガの達人の考古学者アスミタがインドからやって来た。彼女は一家に伝わる古地図を復元し、中印国境の崑崙山中に消えた秘宝を探して欲しいと頼み込む。
ジャックは甥でトレジャー・ハンターのジョーンズをチームに引き込み、宝探しの旅に出るが、そんな彼らに秘宝を奪おうとする謎の一団が迫り……
この映画、ジャッキーはカンフーの達人でもある考古学者役で、そんな彼が宝探しの冒険を繰り広げる、「インディ・ジョーンズ」のような内容。
実際、秘宝の鍵となる“シヴァの目”を杖に取り付けて……と言うのはまるで「レイダーズ」じゃないか、と思っていたら、映画内でも「『インディ・ジョーンズ』かっ？」とツッコミが入っていたのには笑いました。
映画としても「インディ・ジョーンズ」に劣らぬ世界中を飛び回るスケールの大きさを見せると共に、アクションもてんこ盛り。それも、カンフー・アクションだけでなく、冒頭の歴史活劇はオールＣＧで描き、ドバイを舞台に高級車で繰り広げるカーチェイスに、ハイエナの檻からのからの脱出、と様々に工夫を凝らした見せ場の連続です。
また、美人も豪勢なのがこの映画の特色で、ヒロインとなるアミスタを演じるディーシャ・パターニがスリムなインド美女、ならばとジャックの助手のヌォミンを演じるムチミヤは何と九頭身の抜群のプロポーションで、中印美女競演と言う所。その他にも美人ばかりを揃えたキャスティングで、ジャッキーは両手に花どころか花に埋もれているような状態になっています。
アクションの方はさすがにジャッキーも厳しくなっているのですが、アクションを出来る若手（ジョーンズ役は、「李小龍 マイブラザー」のアーリフ・リー）が補うと共に、ディシャ・パタニとのコンビネーション技などでしっかり見せ場を作っているのはさすが。また、オールドファンには、久々に見せる木人との組み手も嬉しくなる所でしょう。
物語としては、ジャッキー・チェンの映画らしいと言えばそうなのですが、アクション描写やファンサービスに熱心な一方で、物語自体には粗が目立ちます。
秘宝はマクガフィンとしての役割しか持たされておらず（なので、その“お宝”で敵役をぶん殴ったりと結構扱いが粗雑）、そこに導く“シヴァの目”も結構トホホな位置づけ。
敵役もまたカンフーを使う相手としてとして存在するだけで、最期は決着も有耶無耶に、ボリウッド映画流に皆で踊って大団円となるのにはちょいと拍子抜けした感もありました。
ただ、そう言うものだと割り切って観れば、これはこれで楽しい映画。
スケール大きく、豪華で、最期にはみんな笑顔になるのですから、お正月映画としては相応しいものでしょう。
気になったのは、冒頭から中国・インドの友好を謳い、更にアスミタの口から「一帯一路」構想への理解を語らせるなど、最近反目する事が目立つ中印関係に向けた政治的メッセージ色を感じる部分。
確かにジャッキー・チェンの存在と影響力があるからこそ、政治的な含みを持たせたくなる、と言うのは判るのですが……
（２０１７年 １２月２２日 ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）
（作品データ）
■監督
スタンリー・トン
■出演
ジャック ・・・ ジャッキー・チェン
ジョーンズ ・・・ アーリフ・リー
アスミタ ・・・ ディシャ・パタニ
ヌォミン ・・・ ムチミヤ
（その他のキャスト）
■コピー
レイ ソーヌー・スード アミラ・ダスツール エリック・ツァン
■Ｌｉｎｋ
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