ＤＥＳＴＩＮＹ
鎌倉ものがたり
これは山崎貴監督が「ＡＬＷＡＹＳ 三丁目の夕日」に続いて山岸良平のコミック「鎌倉物語」を実写映画化したもの。
主演は、堺雅人と高畑充希。
鎌倉――そこは、人間ばかりではなく、幽霊や物の怪、神様までが暮らす、人の世界と異界が交錯する古都。
その鎌倉に住まうミステリー作家の一色正和の元に年の離れた新妻、亜紀子が嫁いで来た。東京とは時の流れさえ異なるような鎌倉の暮らしは亜紀子には驚くことばかり。
一方、正和は警察の扱う難事件の捜査協力者としても活躍しており、鎌倉ではちょっとした名探偵として知られていた。
そんなある日、ある事件が起きて……
幽霊や魔物が登場するのにちっとも怖くない、明るく・楽しく、それでいてじんわりと泣ける、日本版ファンタジー。
特に秀逸なのは、その世界構築と登場人物で、これが何とも魅力的に出来上がっています。
いつもにこにこしているような正和役の堺雅人は、これが本領。大ヒットＴＶドラマのせいで小難しい顔で「倍返しだ」と凄む姿の印象がありますが、こうした飄々とした人物こそ堺雅人の得意とする所。これはハマリ役です。
高畑充希はちょっと昭和的世界観に合わないような感じもしますが、その子供っぽい純真さとひたむきさは上手く合っています。
特筆すべきは、貧乏神役の田中泯と、死神役の安藤サクラ。
安藤サクラ、どちらかと言うとぼんやりしたような役が多いのですが、この死神は快活な少年のようなキャラクターで、こんな役も出来るのかと、目から鱗な感じでした。
物語としては、前半に小ネタ複数のエピソードを並べ、後半は黄泉の国へ亜紀子の魂を取り戻しに行くと言う冒険行となります。
どちらかと言うと前半の方が面白く、こちらをもっと観たいようにも思うのですが、後半の黄泉の国のビジュアル、魔物との戦い、と言うのも映画的には欠かせないものでしょうか。その決着が、前半から伏線を引っ張った「親切」のお返しと言うのも作品観によく合っています。
映画を彩る昭和的アイテムが作り出す何処か懐かしい雰囲気や、連れ添う夫婦の想いを中心に据えた物語など、この映画を本当に楽しめるのは年齢層高めの層と言う気もしますが、「ハリー・ポッター」シリーズにも引けを取らない丁寧に作られたよい出来のファンタジーで、これは続編も期待したい所です。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
山崎貴
■出演
一色正和 ・・・ 堺雅人
一色亜紀子 ・・・ 高畑充希
死神 ・・・ 安藤サクラ
貧乏神 ・・・ 田中泯
（その他のキャスト）
堤真一 中村玉緒 市川実日子 ムロツヨシ 要潤 大倉孝二 神戸浩 國村隼
木下ほうか 瀬戸たかの 鶴田真由 薬師丸ひろ子 吉行和子 橋爪功 三浦友和
古田新太
■コピー
ここ鎌倉では、人間も幽霊も魔物も神様も仏様もみ〜んな仲良く暮らしています。
■Ｌｉｎｋ
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