人生はシネマティック！
Their Finest
これは、「１７歳の肖像」のロネ・シェルフィグ監督による、第二次大戦中のロンドンで映画作りに携わる事になった女性を描くヒューマンドラマ。
１９４０年、英国の戦いで日々空襲に見舞われるロンドン。
売れない画家の内縁の妻として共に暮らすカトリンは、新たに情報局の仕事を得る。
演出家のアシスタントとして、国威高揚宣伝フィルム製作に携わる事になったカトリンは、女性ならではの視点で、台詞を脚色。映画局特別顧問バックリーにその才能を見出され、国民を鼓舞するプロパガンダ映画の脚本チームに参加することになる。
映画局は、ダンケルク撤退作戦の際に船を出した双子姉妹の実話を元にした映画を製作する事になり、カトリンは早速取材に出かけるが……
物事の舞台裏、あるいは物作りを描く映画には良作が多いのですが、戦時下の映画作りを描くこの映画もその例に漏れません。
イギリス映画らしく、派手さはありませんが、ユーモアとウィット、人生の機微を盛り込んだ脚本もよく、男性が出征して行った銃後だからこそ、女性に活躍の場が与えられたと言う、当時の状況も興味深い。さらに、ロマンスに加え、戦時下故のやるせない悲劇も盛り込まれて、内容は盛り沢山です。
主役のカトリンはジェマ・アータートン……控えめな美貌はハリウッド大作向きではなくても英国映画にはぴったり。
他に、「世界一キライなあなたに」のサム・クラフリンに、ジェレミー・アイアンズ、そして、名優、ビル・ナイを起用――老俳優を生き生きと演じるビル・ナイですが、見事な歌声には聞き惚れました――と、英国俳優陣としてなかなか豪華なキャストです。
言うまでもない事ですが、映画とは絵空事です。フィルムに記録されるその内容は様々なくだらない理由により歪められ、変えられ、現実から乖離して行きます。
この映画は、そんな映画作りの現実から逃げず、それを直視した上で、映画には作り手たちにより「夢」や「希望」、人生の様々な「真実」が盛り込まれているのだ、と謳い上げる――そこには輝かしい、あるいはかけがえのない、その人にとっての「真実」があるのです。
人生の２時間を捧げても惜しくない、映画ファンはスクリーンの向こうにそんな「真実」を期待して映画館に足を運びます――これは、そんな期待に応える１本です。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ロネ・シェルフィグ
■出演
カトリン・コール ・・・ ジェマ・アータートン
トム・バックリー ・・・ サム・クラフリン
（その他のキャスト）
ビル・ナイ ジャック・ヒューストン ヘレン・マックロリー エディ・マーサン ジェイク・レイシー レイチェル・スターリング ポール・リッター
ジェレミー・アイアンズ リチャード・E・グラント ヘンリー・グッドマン マイケル・マーカス リリー・ナイト フランチェスカ・ナイト
ギャビー・チャッペ クローディア・ジェシー ステファニー・ハイアム
■コピー
みんなで作る「最高の結末」
■Ｌｉｎｋ
［戻る］