アトミック・ブロンド
これは、アンソニー・ジョンストンとサム・ハートのグラフィックノベル「Ｔｈｅ Ｃｏｌｄｅｓｔ Ｃｉｔｙ」を原作とした、シャーリーズ・セロン主演のスパイ・アクション。
冷戦末期の１９８９年。ベルリンでＭＩ６の諜報員が何者かに殺害され極秘資料が奪われてしまう。資料の内容はＭＩ６の諜報員のリスト。リストが敵の手に渡れば諜報員網が壊滅する。
ＭＩ６は、潜入と近接戦闘のプロ、ロレｰン・ブロートンにリストの奪還と、併せてＭＩ６内から情報を漏洩させた二重スパイを見つけ出すよう命じる。
ロレーン・ブロートンは、ベルリンに潜伏する諜報員デヴィッド・パーシヴァルと接触するが……
ＭＩ６、ＫＧＢ、それにＣＩＡと各国の諜報機関が送り込んだスパイが情報戦を繰り広げる……そんな設定は最早冷戦時代まで遡らなければ出来ない、と言う事か。確かに、未だベルリンの壁があり、東西陣営がにらみ合う状況と、寒々しい風景は、スパイが暗躍するハードボイルドな物語の風景として相応しい。
騙し合いと駆け引きのスパイ・サスペンスと、カーアクションに肉弾戦と言うハードアクションの見せ場も十分。特に、終盤、７分にも及ぶ激闘をワンシーン・ワンカットで撮った――なので、スタントを使ってない――シャーリーズ・セロンによるアクションは特筆に値します。
また、スパイ映画らしく、お色気シーンも盛り込まれていますし、’８０年代ポップスを多用した音楽のセンスもいい。
ロレーン・ブロートンを演じたシャーリーズ・セロンは、氷風呂に浸かるオールヌードに始まり、レズビアンシーンから、ほぼスタントなしだと言う格闘アクションまでこなし、正に身体を張った演技を見せています。彼女も既に４２歳になるだけに、年齢を感じさせる場面もありますが、持ち前の美貌に貫禄が加わり、凜々しくも美しい姿を見せているのはさすがです。
パーシヴァル役のジェームズ・マカヴォイの掴み所のない怪演、珍しく素顔を晒して可愛い所を見せているソフィア・ブテラ、いいところを持って行くジョン・グッドマンと脇役の存在感もなかなかです。
ただ、話としては小さなもので、「００７」のような秘密兵器が登場したり、世界を危機から救うなどではありません。その一方で、マンガじみたローレン・ブロートンのキャラクター設定など、映画としてはちょっと中途半端な印象も受けました。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
デヴィッド・リーチ
■出演
ロレーン・ブロートン ・・・ シャーリーズ・セロン
デヴィッド・パーシヴァル ・・・ ジェームズ・マカヴォイ
（その他のキャスト）
ジョン・グッドマン ティル・シュヴァイガー エディ・マーサン ソフィア・ブテラ ジェームズ・フォークナー
ビル・スカルスガルド サム・ハーグレイヴ ヨハンネス・ヨハネッソン トビー・ジョーンズ
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最強の女スパイ、現る。
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