宇宙戦艦ヤマト２２０２ 愛の戦士たち
第三章 純愛篇
これは、「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク、「宇宙戦艦ヤマト２１９９」の続編で、ＴＶシリーズ「宇宙戦艦ヤマト 〜愛の戦士たち」のリメイクに相当する連作ドラマを映画版に再編集したシリーズの第三弾。
テレザート星のテレサからの呼びかけに応え地球を飛び立ったヤマトとそのクルーたちは、ガトランティス艦隊の襲撃を受けた太陽系第十一番惑星で生存者を救出。
しかし、続々と現れるガトランティス増援艦隊の狙いが地球にある事を知った艦長代理の古代は、波動砲の封印を解くべきか苦悩する。
そんな彼の前に、密航していた森雪が姿を現して……
第二章で「次元断層」と言う設定を持ち込み、焼けただれた地球が僅か２年で復興を遂げた理由を説明した辺りには唸らされた本シリーズですが、この第三章には不満が多くあります。
確かに、元々、ＴＶシリーズを考慮（「２１９９」は実際にＴＶ放送しました）した構成だけに、１話ごとに起承転結をつけなければならない制約があり、それ故に本筋から外れたようなエピソード（今回では“宇宙ホタル”がそれでしょう）もあるのは仕方ない、と思いますが、それでも劇場版として公開する以上、無駄なエピソードはバッサリ切る判断も欲しかった所。
また、本作では古代進の迷走っぷりが酷い。
地球防衛軍に反旗を翻してヤマトを動かした気概は何処へやら、本作のクライマックスとなる「愛を問われる」シーンでの、無線をオープンチャンネルにして、下手なメロドラマでもやらないような言い訳じみた心情吐露を延々とする（しかも、相手の森雪の方が呆れて途中で無線切り替えて別途事情説明を求めるとか）辺り、指揮官の資格を問われる所か、男としてどうなの？と言う有様――サブタイトルに「愛の戦士たち」とある本シリーズ、この後も「愛」と「戦い」の狭間で揺れる人の心を、それが織り成すドラマを描くのでしょうけど、それを、こんなメロドラマ紛いの描写にするつもりなのか……「ヤマト」で、そんなものを観たい訳ではないのですが。
他にも、ＴＶ画面を意識した画角は顔面を大写しにするばかりで映画としての表現ではなく、戦闘シーンでの見せ場も少ないなど、「映画」としては楽しめなかった、と言うのが正直な感想。
確かに、「ヤマト」への想い入れは少なくないだけに、続きは勿論気になるのですが、この出来が続くようなら劇場での鑑賞は考えたくなってしまうような出来でした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
羽原信義
■出演
古代進 ・・・ 小野大輔
森雪 ・・・ 桑島法子
（その他のキャスト）
鈴村健一 大塚芳忠 赤羽根健治 國分和人 千葉優輝 麦人 森谷里美 チョー 千葉繁
甲斐田裕子 細谷佳正 田中理恵 平川大輔 東地宏樹 雨谷和砂 菅生隆之 石塚運昇
てらそままさき 神谷浩史 手塚秀彰 柴田秀勝 小島敏彦
■コピー
突破せよ――
■Ｌｉｎｋ
［戻る］