エイリアン
コヴェナント
これは、ＳＦホラーの金字塔にして、未だ確かな存在感を誇る映画史上屈指のクリーチャー、“エイリアン”の起源を描いた映画「プロメテウス」の続編で、「エイリアン」第一作目の前日譚になる三部作の第二弾。
西暦２１０４年。植民船コヴェナント号は、コールドスリープ中の２０００人の入植者や乗組員と共に植民惑星オリガエ６に向け星間航行を続けていた。
ところが、予期せぬトラブルで事故が発生、乗組員は急遽休眠から目覚めさせられるが、船長らが命を落としてしまう。
船長代理となったオラムは、オリガエ６への航行を断念、現在の空域から近い、地球型の惑星に目的地を変更するのだが……
エイリアンの起源どころか地球上の生命誕生にまで風呂敷を広げた「プロメテウス」に対し、今回の映画は随分とスケールが小さくなったもの。
地球におめる生命誕生に関わったと思しき神のような存在に描かれていた異星人が、人間によって作られたアンドロイドでしかないデヴィッドの仕掛けたエイリアンによるバイオハザードで壊滅した、などの拍子抜けするような風呂敷の畳み方や、前作ヒロインのエリザベス・ショウのあんまりな扱いなど、話を膨らませる所か、「プロメテウス」をなかった事にし、「エイリアン」の第一作に何とか繋げようとしているのではないか、と思ってしまったほど。
リドリー・スコットは、エイリアンの起源に人類の起源を重ね、作られしものの悲哀と、それを知らぬが故の傲慢、そして造物主の怒りを描こうとしているように思えますが、果たして、それが「エイリアン」に相応しい物語なのか、と言う部分も疑問です。
また、設定や描写にも引っかかる点多数。
今回、エイリアンが胞子によって繁殖する、と言う描写（これは異星人を滅ぼすバイオハザードの設定として必要だったのでしょうけど）が加えられ、エイリアンのライフサイクルを混乱させたのも気になりましたし、コヴェナントのクルーの対応もおかしい。恒星間宇宙船の目的地を安易に変える、と言うのも変なら、そうやって辿り着いた未知の惑星で、マスクもつけずに行動してエイリアンの胞子に寄生されると言う、その無知と無防備っぷりには，逆に何かの仕掛けなのかと思ってしまうほど。
とにかく、登場人物が揃いも揃って間抜けで、パニック起こして無策に殺されていくだけでは、ホラー・サスペンスとしても盛り上がりません。
そして、中盤以降は、エイリアンの蛹をのぞき込んでフェイスハガーに抱きつかれる所から始まって、１作目をコピーしたようなシーンが続き、最後は宇宙空間に放出して決着、と言うのも芸がない。
こんなのが作りたかったのなら、最新技術で第一作目をリメイクすればよかったのではないか、と思わせる内容で、この「エイリアン：０」シリーズも、これで打ち切りにして欲しいくらいの出来でした。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
リドリー・スコット
■出演
デヴィッド／ウォルター ・・・ マイケル・ファスベンダー
ダニエルズ ・・・ キャサリン・ウォーターストン
オラム ・・・ ビリー・クラダップ
（その他のキャスト）
ダニー・マクブライド デミアン・ビチル カルメン・イジョゴ エイミー・サイメッツ ジャシー・スモレット キャリー・ヘルナンデス
ナサニエル・ディーン アレクサンダー・イングランド ベンジャミン・リグビー ウリ・ラトゥケフ テス・ハウブリック
ジェイムズ・フランコ ガイ・ピアース ノオミ・ラパス
■コピー
絶望の、産声。
■Ｌｉｎｋ
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