| ハイジ アルプスの物語 |
これは、ヨハンナ・スピリの児童文学「アルプスの少女ハイジ」を映画化したもの。
両親を亡くし叔母デーテに育てられていた少女ハイジは、ある日、アルプスの山小屋で孤独に暮らす祖父に預けられることになった。
ハイジは大自然に囲まれたその場所がすっかり気に入り、始めは余所へ預けようとした祖父も、ハイジの純真さに心を許すようになる。
だが、フランクフルトに働きに行ったデーテが勤め先のお屋敷の令嬢・クララの話し相手としてハイジを呼び寄せようとして……
この実写版、これがまぁ、世界名作劇場のアニメ版そっくり。
おんじの外観は正にそのまま、溶けたチーズを乗せたパン、干し草のベッド、ペーターの帽子……とアニメ版そのままの描写があるな、と思っていたら、監督のアラン・グスポーナー、子供の頃にドイツで放送された名作劇場のアニメ版を観ているんだそうな。なるほど。
こうして観ると、あらためて思い知らされる宮崎駿の呆れるほどにリアルな場面設定、その名作アニメ版に勝るとも劣らぬディティールの描き込みはさすがドイツ映画らしい部分ですが、これまたドイツ映画らしく、リアルに映し出された風景にはちょっと物足りない感じも……フランクフルトの描写はそれでよいとしても、風光明媚なアルプスは、その対比としても美しく鮮やかに映し出して欲しかったように思いました。
物語は、ハイジがアルプス連れて来られる所から、クララが歩けるようになるまでを詰め込んでいますが、緻密なディティールとテンポのよい筋運びで、無理を感じさせません――ただ、自分には名作劇場で刷り込みされているだけに、脳内補完がかかっている部分も否定は出来ません。やはり、初見の人には詰め込み過ぎに感じるかも知れません。
ハイジを演じたアヌーク・シュテフェンは、これぞ宮崎ヒロインとでも言うべき、活発で野性味溢れる少女。そんなハイジに、頑固だったアルムおんじも、閉じこもっていたクララも救われ、観る人も心洗われる……時代も、国も、メディアも超えて愛され、親しまれるのは、これぞ名作の力、と言うべきでしょうか。
これは誰にでもお勧め出来る映画と思います。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
アラン・グスポーナー
■出演
ハイジ ・・・ アヌーク・シュテフェン
おんじ ・・・ ブルーノ・ガンツ
クララ ・・・ イザベル・オットマン
（その他のキャスト）
クィリン・アグリッピ カタリーナ・シュットラー ハンネローレ・ホーガー マキシム・メーメット ペーター・ローマイヤー イェラ・ハーゼ
■コピー
また会えたね、ハイジ。
■Ｌｉｎｋ
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