| ママは日本へ嫁に行っちゃ ダメと言うけれど。 |
これは、Ｆａｃｅｂｏｏｋで出会い、結婚した日本人男性と台湾人女性のエピソードを映画化したもの。
台湾に住む女子大生、リンは大学でも日本語を専攻する日本文化に憧れる女の子。そんな彼女は、ふと目に止めた東日本震災の様子を伝える日本人青年、茂木のＦａｃｅｂｏｏｋに「日本加油！（日本頑張れ）」と書き込んだ。
それから、“リンちゃん”と“モギさん”、２人のＦａｃｅｂｏｏｋでのやり取りが始まった。
やがて、連休を利用して、会社同僚と共に台湾旅行をする茂木をリンが案内した事で、その距離は縮まり、２人のＦａｃｅｂｏｏｋでのチャットはオンラインデートとなって行くのだが……
これは実話ベースのラブコメなのだけど、この物語、オリジナルのエピソードに何のヒネリも加えず、大きな脚色もせず、実話そのままを描いているようで、ドラマの大きな盛り上がりがありません。
タイトルにある「ママは日本に嫁に行っちゃダメと言うけれど」ですが、このママが何をするかと言うと、日本へ飛んで行った娘を呼び戻す為に仮病を使ったくらいで、数多ある恋愛ドラマに比べたら支障にもならない程度の制約でしかないのです。
その一方で、モギさんは、リンちゃんが元彼と再会したと聞かされただけで、「ヨリを戻したんじゃないか」と距離を取ってしまい、２人の仲が疎遠になるなど、ほんの些細な事でうじうじと悩む様子が延々と描かれたりもします。
ただ、実際の恋愛を含めた人間関係なんて言うのはそんなもので、些細なきっかけで人は不仲になったり、疎遠になったりするもの、と言うのは多くの人に経験があるものと思います。
もっとも、そんな小さなドラマだけでは映画になる訳もなく、映画は台湾と日本、それぞれの観光名所で、モギさんとリンちゃんが仲良くはしゃぐシーンをポップな音楽に乗せて描きます。この辺り、リンちゃんを演じたジエン・マンシューのプロモーションビデオか、観光案内映像のような趣で、物語性のない、こうした映像が続く事を納得出来るかが、この映画を認められるか否かを別けるように思いました。
自分としては、可愛らしく、喜怒哀楽のはっきりしたリンちゃんを見ているだけでも楽しく、それに対し、いかにも現代日本の青年らしいモギさんのはっきりしない表情と、内に秘めた繊細さと優しさのかみ合わせが面白く、そんな如何にもな草食系のモギさんが掴んだ恋物語として楽しめたのですが、ふわふわと軽い印象の映画には物足りなさを覚える人もいるかも知れません。
（２０１７年 ８月１６日 横浜 シネマジャック＆ベティにて）
（作品データ）
■監督
谷内田彰久
■原作
モギ奥さん（リンちゃん）
■出演
茂木 ・・・ 中野裕太
リン ・・・ ジエン・マンシュー
（その他のキャスト）
ワン・サイファー 蛭子能収 リン・メイシュー 大谷主水 岡本孝 与座重理久
■コピー
恋に臆病になってるあなたに贈る。
Facebookから生まれた実話ストーリー
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