スパイダーマン
ホームカミング

　これは、映画化権の問題が解決、「アベンジャーズ」への参入が可能となった、スパイダーマンの新作映画。
　この新たなスパイダーマンの登場により、「アメイジング・スパイダーマン」シリーズは２作で完結となりました。　
　監督は、「ＣＯＰ　ＣＡＲ」のジョン・ワッツ。

　ニューヨークの高校生ピーター・パーカー。クモの能力を備える彼にトニー・スタークは特製スーツを提供。アベンジャーズ内紛の際にはスパイダーマンとして活躍を見せた。
　その後もピーターは、周囲にはスターク社のインターン研修だと誤魔化しながら、街を犯罪から護るスパイダーマンとして活動していた。
　そんなある日、ピーターはハイテク武器を使った強盗集団を目撃して……

　スパイダーマンと言えば、高校生が偶然に特殊能力を得て、その力に戸惑いながら成長すると言う、青春映画のような展開に始まるイメージですが、「アベンジャーズ」シリーズへの合流が決まり、既に「シビル・ウォー」でスクリーンデビューを飾っている状況では、今更、クモに刺される所から始める訳にも行きません。新スパイダーマンは、アベンジャーズ候補生からのスタート。インターンの学生とは言え、そこは金満スターク社だけに待遇はよく、いきなりハイテクスーツを支給されると言う、これまでのスパイダーマンにない好待遇からの発進となりました。

　まだまだ少年らしいトム・ホランド演じるピーター・パーカーはいかにも高校生らしく、陽気で軽口を叩きながら戦う辺りも、コミック版のスパイダーマンのイメージ通り――まぁ、大ヒットしたサム・ライミ版「スパイダーマン」のトビー・マクガイアは陰気でしたが、本来、スパイディってのはこう言うキャラクターでしょう。
　また、このスパイダーマンでは叔父の死は描かれませんが、保護者として登場する叔母はマリサ・トメイが演じて、熟女の魅力たっぷり。これまでになく魅力的で、トニーが手を出しやしないかと心配する程でした。
　一方、今回のヴィラン、ヴァルチャーを演じるのはマイケル・キートン。彼の起用は、かつて彼がバットマンを演じていた事を考えるとちょいと皮肉が効きすぎなのでは、と言う感じもしました。
　ヒーローオタクの友人、ネッドもいい味出しており、しかも、クライマクスでは“椅子の男”となるなど、しっかり活躍してしまうのも心憎い。ＭＪの出て来ない本作のヒロイン、ミシェルも魅力的……ホームカミング・パーティーのため、決心して彼女を誘いに行った時には、まさかの展開になり……この後、彼女と戦うなどと言う事にならなければいいのですが。

　物語は、アベンジャーズの期待のルーキーとしてデビュー、舞い上がっていたピーターが、調子に乗り過ぎてスーツを取り上げられ、アベンジャーズ本格加入も見送られた後に、知恵と勇気と手作りのスーツで強敵に立ち向かう……と言う、これぞ青春映画、と言う展開。世界を救うとかではなく、身近な問題を解決し、一歩前に進んだだけではあるのですけど、世界を救うアベンジャーズよりも、下町の平和を守る“ぼくらのスパイダーマン”である事を選んだラストには、爽やかな感動がありました。　
　

　（年　月　日　にて）

（作品データ）

　■監督

ジョン・ワッツ

　■出演

ピーター・パーカー／スパイダーマン　・・・　トム・ホランド

ミシェル　・・・　ゼンデイヤ

トニー・スターク／アイアンマン　・・・　ロバート・ダウニーＪｒ．

（その他のキャスト）
　マイケル・キートン　　ジョン・ファヴロウ　　ドナルド・グローヴァー　　タイン・デイリー　　ジェイコブ・バタロン　　ローラ・ハリアー
　マリサ・トメイ　　グウィネス・パルトロウ　　クリス・エヴァンス　　トニー・レヴォロリ　　ガーセル・ボヴェイ　　ヘムキー・マデーラ
　ボキーム・ウッドバイン　　ローガン・マーシャル=グリーン　　マイケル・チャーナス　　マイケル・マンド　　ケネス・チョイ
　ハンニバル・バレス　　マーティン・スター　　セレニス・レイバ　　トゥンデ・アデビンペ　　J・J・トター　　エイブラハム・アッター
　ティファニー・エスペンセン　　アンガーリー・ライス　　カーク・R・サッチャー　　スタン・リー　　ジェニファー・コネリー

　■コピー

みせてやる、僕の力を――

　■Ｌｉｎｋ

http://www.bd-dvd.sonypictures.jp/spiderman-movie/

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