トランスフォーマー
最後の騎士王
これは、日本製の変形ロボット玩具「トランスフォーマー」の映画版第５作目。監督は（紆余曲折あったようですが）、これまでと同じくマイケル・ベイ。
物語としては、前作「ロストエイジ」に続くもので、数千年に及ぶトランスフォーマーと人類の歴史が明かされると言う、シリーズ最終章３部作の第一弾と位置づけされています。
“創造主”の元へ赴く為にオプティマス・プライムが宇宙に去って数年……地球には機械生命体の侵入が相次ぎ、人類は、オートボットを含む機械生命体の排除を目的に対トランスフォーマー部隊「ＴＲＦ」を組織。ケイド・イェーガーも指名手配犯として追われる身となっていた。
その頃、故郷サイバトロン星で“創造主”のクインテッサに会ったオプティマスは……
この５作目ですが、これが何とも新鮮味のない印象。
トランスフォーマーが人類によって迫害されている、と言うのは４作目と変わらずの設定ですし、トランスフォーマーが以前から地球に来ていて、歴史の陰に彼らの存在があった、と言うのも３作目の焼き直しように思えます。
もっとも、本作で引用されるエピソードはアーサー王伝説で、英国建国の神話的エピソードを元ネタにする事に、一応の敬意を表しての事か、それを解説する為に、名優、アンソニー・ホプキンスを起用しているのですが、内容が内容だけに、名優の無駄遣い、と言う印象を受けてしまいました。
アクションは派手でノンストップ、その合間に飛び交う台詞は、如何にも頭の悪い台詞の応酬と、笑えないギャグの連発で……それは紛れもないマイケル・ベイの映画ならではの特徴ではあるのですが、これにはさすがに幾度かイライラさせられました。
そして、アクションの方も、スケールの大きさこそ感じさせはするものの、今回、いかにもマイケル・ベイ的なカッコよい映像が見られなかったのも残念な所。
内容的には、これまでより更に対象年齢を引き下げたような感じで、１２歳に見える１４歳の少女、イザベラを登場させたのも、彼女辺りに“萌える”少年たちがターゲットと言う事なのか、と思いました――もっとも、そのイザベラを有効に活かせず、ヴィヴィアンと言う女性をヒロインとし、口汚く彼女を罵っていたケイドと、いつの間にか恋に落ちてしまう、と言う噴飯物の展開にして来る、物語展開の粗も気になる所です。
創造主と話をつける為に赴いたオプティマスがあっさり洗脳され、それがバンブルビーに「古い友達だったろ？」と一言言われて解けちゃう、とか、“杖”を取り戻すにはヴィヴィアンにしか出来ないと言っていたのに、オプティマスが最後ぶん殴って決着つけちゃうとか、物語としては本当に粗雑。
中国の資本投下や玩具販売の都合もあって立ち上げた新三部作構想ですが、当初はマイケル・ベイも監督を降りたがっていた、と言うように、既に、このシリーズ、コンテンツとして“終わってる”感があるのに、まだ２作もあるとは……「パイレーツ・オブ・カリビアン」も全く同じ状況にはあるのですが、こうも続くとさすがにげんなりします。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
マイケル・ベイ
■出演
ケイド・イェーガー ・・・ マーク・ウォールバーグ
イザベラ ・・・ イザベラ・モナー
ヴィヴィアン・ウェンブリー ・・・ ローラ・ハドック
（その他のキャスト）
ジョシュ・デュアメル ジェロッド・カーマイケル ジョン・タトゥーロ スタンリー・トゥッチ アンソニー・ホプキンス
サンティアゴ・カブレラ リアム・ギャリガン グレン・モーシャワー ミッチ・ピレッジ トニー・ヘイル ピーター・カレン
エリク・アーダール ジョン・グッドマン 渡辺謙 ジョン・ディマジオ ジム・カーター オマール・シー レノ・ウィルソン
トム・ケニー スティーヴ・ブシェミ フランク・ウェルカー
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我々の星を救うため、全人類を滅ぼす
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