ジョジョの奇妙な冒険
ダイヤモンドは砕けない 第一章
これは、シリーズ累計発行部数１億を超える荒木飛呂彦の超人気コミックを、三池崇史が実写映画化したもの。
杜王町で暮らす高校生の東方仗助は、シングルマザーの母と、警察官の祖父の３人で暮らしている。
ある日、仗助の前に、空条承太郎と言う男が現れ、仗助がジョセフ・ジョースターなる人物の息子であり、自分はジョセフの孫である、と告げる。更に承太郎は仗助のそばに立つ「悪霊のようなもの」の正体を彼に教えるのだった。
その頃、平和だった町では謎の変死事件が続発、背後には殺人鬼、“アンジェロ”こと片桐安十郎がいた……
この映画、「ジョジョの奇妙な冒険」の実写映画化が発表されて以来、その内容には不安視する声が多くありました。
自分は、原作コミックは、少年ジャンプ誌で断片的に読んだ程度でしかありませんが、それでも、荒木飛呂彦の独特な美意識で描かれたもので、その個性的な髪型にファッション、”ジョジョ立ち”と言われる独特のポージング、数々の名（迷？）台詞など、実写化した途端にギャグに転化するのではないか、と言う要素が多分にあるのは理解しており、実写映画化を不安に思うのは当然と思えました。
その難題に対し、コミッｸ原作映画を数多く手掛けた三池監督は見事に応えたと思います。
登場人物たちの、髪型・ファッションは忠実に再現、しかも、杜王町はスペインロケで撮影したスペインの街並み……一見、違和感ありありな要素が、ここまで現実離れしていると見事にかみ合って、正に原作コミックそのまま、と言える雰囲気を出しているのは大したもの。
映画のベースとなったのは、「ジョジョ」の物語が一つの区切りをつけた後に再スタートを切った第四部「タイヤモンドは砕けない」であり、学園モノとして始まるそれは、一見の観客も引き込みやすい展開です。更に、複数章構成にして、原作エピソードを無理に押し込まず、三池監督の持論通りにコミック３巻分以内にエピソードを絞り、物語展開が駆け足にならないようにすると共に、しっかりドラマを描いて物語に厚みを与えているのも好印象。
監督の得意とするヤンキー同士のいがみ合いで映画を始め、空条承太郎を演じる伊勢谷友介のように力のあるキャストを配して物語世界に観客を引き込むのは名人芸と言えるでしょう。
キャストはなかなかよく再現していると思うのですが、ここでやや外した感があるのが、肝心要の主役、東方仗助を演じた山崎賢人。丸顔で童顔の山崎賢人は、どうにもヤンキーファッションとリーゼントヘアが似合わず、これが最大のミスキャストに思えるのが痛い。
映画の見せ場としては、実は前半で、特にアンジェロとの戦いは頭脳戦の部分もあり、楽しめた所。
一方、後半の山場、虹村兄弟との戦いはちょっとテンポが悪いように思えました。
コミックの“実写化”映画としては、水準以上にはある本作ですが、難しいのは２作目以降でしょうか……２作目も、本作と同様の気合いと体制で臨めば、がっかりするようなものにはならないと思うのですが、それも、本作が原作ファンに受け入れられるかどうか、でしょうか。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
■出演
東方仗助 ・・・ 山崎賢人
空条承太郎 ・・・ 伊勢谷友介
広瀬康一 ・・・ 神木隆之介
（その他のキャスト）
小松菜奈 岡田将生 新田真剣佑 観月ありさ 國村隼 山田孝之
■コピー
この「力<スタンド>」で、守るべきものがある。
■Ｌｉｎｋ
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