| パワーレンジャー |
これは「ゴレンジャー」に始まる東映特撮の「スーパー戦隊シリーズ」をアメリカでローカライズ（戦闘シーンのみを流用、ドラマ部分をアメリカ人の俳優で撮り直し）した、特撮ＴＶシリーズ「パワーレンジャー」を、全編アメリカでリメイクしたもの。
小さな港町で暮らす、高校生のジェイソン。アメフト部期待のＱＢだったが、問題を起こして今は保護観察の身。
ある日、ジェイソンは補習クラスで出会ったビリーに誘われ、郊外にある寂れた金鉱山の調査に同行。ビリーの仕掛けた発破に駆けつけたジェイソンは、同じ高校に通う高校生、キンバリー、トリニー、ザックと出会う。
発破をかけた跡に現れた鉱脈から、彼らは不思議な５色のコインを掘り出す。その後、超人的なパワーを得たことに気づいた彼ら５人は、再び鉱山に集まり、地下に眠る宇宙船を発見して……
この映画、意外なくらいに高校を舞台にした青春ものをやってます。
そして、主役になるのはいずれも落ちこぼれの５人。ジェイソンはアメフト部、キンバリーはチアリーダーと、スクールカースト上位であったのだけど、それぞれ問題を起こして部にいられなくなり、補習クラスに落っこちていますし、他の３人は自閉症に、不登校、同性愛者と、様々な要因により、道を外れてしまったのです。
この映画は、そうして落ちこぼれた５人が、己と向き合い、そんな現実を認め、仲間と共に乗り越えて行こう、と言う物語であり、物語としては、別に変身しなくとも、悪と戦わなくとも成立しています。
世界の不幸を全て自分で抱え込むように思い詰めるのではなく、自分が世界に対して何が出来るのか……そして、それが正しい事なら世界はきっと受け入れてくれる、と言うテーマは、これから社会に出る若者たちに向けた力強いメッセージ――まぁ、それ故に大人から見るとそこに彼らが気づくまでがもどかしいのですが。
勿論、ラスト２０分で漸く変身してパワーレンジャーになった彼ら５人の戦いは、熱くなるもの。
東映特撮をリスペクトした、鉱山跡（採石場）でのバトルシーンは、５人揃って見栄を切る、戦隊ものそのままの演出で嬉しくなりますし、巨大な敵に対し、最後は合体ロボットで戦うのも、最近の戦隊もののお約束を踏襲するもの。
黄色いカマロを踏んづけてから投げつけ、「バンブルビー、ごめん」と言うニヤリとさせられるパロディもあり、「トランスフォーマー」を過剰に意識したような部分があるのですが……それならば、「トランスフォーマー」にない合体シーンはちゃんと描いて欲しかったなぁ。
俳優は若手中心、続編も作る気満々の様子ですが、この内容なら彼らの活躍をもっと観てみたい。これは続けて欲しいものと思います。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ディーン・イズラライト
■出演
ジェイソン・スコット／レッド・レンジャー ・・・ デイカー・モンゴメリー
キンバリー・ハート／ピンク・レンジャー ・・・ ナオミ・スコット
ビリー・クランストン／ブルー・レンジャー ・・・ ＲＪ・サイラー
トリニー／イエロー・レンジャー ・・・ ベッキー・Ｇ
ザック／ブラック・レンジャー ・・・ ルディ・リン
（その他のキャスト）
ブライアン・クランストン エリザベス・バンクス デヴィッド・デンマン キャロライン・ケイヴ アンジャリ・ジェイ パトリック・サボンギ
エリカ・セラ ケイデン・マグヌソン サラ・グレイ マット・シヴリー ゲイリー・チョーク ロバート・モロニー ジェイソン・デヴィッド・フランク
エイミー・ジョー・ジョンソン ビル・ヘイダー
■コピー
５人で、超える。
■Ｌｉｎｋ
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