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ＬＩＦＥ
これは、ＩＳＳ（国際宇宙ステーション）と言う閉鎖環境で、地球外生命体に襲われる乗員たちを描くＳＦスリラー。
監督は「チャイルド４４」のダニエル・エスピノーサ。脚本を「デッドプール」のポール・ワーニックとレット・リースが担当しています。
キャストはなかなかに豪華で、主役となるのはジェイク・ギレンホールとレベッカ・ファーガソン。「デッドプール」のライアン・レイノルズも出演しています。また、日本人クルー役に、真田広之がキャストされているのも日本人としては嬉しい所。
近未来、火星からのサンプルリターンを果たした探査船を回収、サンプルから火星の生命体の調査・研究をＩＳＳで行う事になった。
首尾よく生命体を発見した生物学者のヒューは、検疫官のミランダの見守る中、生命体に栄養と刺激を与え、活性化を試みる。
やがて、成長を始めたそれは、粘菌のような群体を作る生き物で、やがて、ヒトデのような形の触手を持つ生命体へと変容していく……
この映画、物語としては「エイリアン」と同様。ただ、近未来を舞台とするだけに、かなりリアル指向に作られています。
物語の舞台となるＩＳＳは、ほぼ実物そのままにセット化（ちなみに、生命体を調査する生化学分析棟って、日本の「きぼう」ですね）、当然、現実のＩＳＳと同じ、最初っから最後までほぼ無重力状態での描写が続きます。
登場人物も、医者や科学者、エンジニアと言う役柄で、当然、戦う術などなく、映画の中では、火星の生命体から逃げ回るのが中心で、アクションとしての見せ場はあまりありません。また、ホラーとするには敵方の正体が明確で、スリラーとするには、スリル演出がちょっと物足りません。ＳＦとするには生命体の描写にリアリティ不足を感じます。
映画的には、ひとつの細胞でも生きられる、と言う群体を作る生命体ならではの嫌らしさ（引き裂いても死なず、細胞一個でも残せば、そこからまた成長する）を、活かしていないのが勿体ない……そうした制約が物語を面白くするものだと思うのですが。（「エイリアン」でも体液が強酸性で、宇宙船を破壊してしまう為に、エイリアンを傷つける事が出来ない、と言うのが倒し方を限定する難しさを生んでいたように）
豪華なキャストと、お金をかけたセットと特撮で、力を使ってしまったせいなのか、この予算規模の割には何処となくＢ級っぽさを感じます。
もっとも、いたずらに騒ぎ立てるばかりではなく、科学者らしく最後まで、あれこれと策を講じ、封じ込めをしようとするのは好感を持てた所ですし、人知を尽くしても、運命は偶然によって左右されます。どんでん返し的なラストの展開と、ダークな終わり方も、これはこれで悪くありません。
Ｂ級スリラーと見れば満足なのでしょうけど、ここまでお金をかけるのなら、もう一工夫欲しかったなぁ、と思ってしまいました。
（２０１７年 ７月 ８日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
ダニエル・エスピノーサ
■出演
デビッド・ジョーダン ・・・ ジェイク・ギレンホール
ミランダ・ノース ・・・ レベッカ・ファーガソン
（その他のキャスト）
ライアン・レイノルズ 真田広之 アリヨン・バカレ オルガ・ディホヴィチナヤ 森尚子
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人類の夢も未来も砕かれる
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