| ＪＯＨＮ | ２ |
| ＷＩＣＫ |
ジョン・ウィック：チャプタ−２
これは、キアヌ・リーブスが“伝説の殺し屋”を演じるアクション映画の第二弾。
愛犬の命と愛車を奪ったロシアン・マフィアへの復讐から５日後、ジョン・ウィックはロシアン・マフィアの残党の密輸組織から愛車を取り戻す――そのお返しに組織を壊滅させて……
そんなジョンの元に、マフィア組織の幹部・サンティーノが現れ、彼の実姉殺しを仕事として依頼する。
既に引退したジョンだが、引退前の大仕事の際、サンティーノと密約し、手を借りていたのだ――だが、ジョンは依頼を断り、立腹したサンティーノはジョンの家を焼き払ってしまう……
この作品の面白さは、殺し屋が彼らだけで“社会”を形成し、その中だけで通じるルールばかりか、通貨や通信インフラを持っている、と言う、いささかマンガチックながら凝った世界観と、「ガン・フー」と言う至近距離で銃を撃ち合うアクションが特徴。
前作のヒットにより、そうした特徴はそのまま、豊富になった資金力により、より豪華に、更に凝った描写を見せています。
本作品世界ではスーツの裏地に出来るような防弾布があるとし、だからこそ、胴部への射撃は致命傷にならないので、近距離から頭部を撃つか、ナイフや関節技が有用とされている……と「ガン・フー」に説得力を持たせる理由付けをしているのも面白いですし、“武器ソムリエ”による武器選びも楽しい。
アクションの方も、前作でもたつく感があったのを反省してか、キアヌ・リーブスは柔術のトレーニングを積み、本作では絞め技・関節技などをを取り入れた格闘術を見せていますし、銃器の取り扱いも、残弾確認をしつつ、マガジン交換の描写もしっかり入れるなど、マニアを唸らせる描写も盛り込まれています。
また、クライマックスの美術館での戦い、最後が鏡の間、と言うのは「燃えよドラゴン」へのリスペクトでしょう。
スタイリッシュに、テンポよく見せるアクションは見応えがあり、楽しめますが、本作で物足りなく思えたのが、ジョン・ウィックの行動の「動機」がはっきりしないこと。
前作では引退を約束した亡き妻への想いと、その妻から送られた子犬の復讐、と言う判り易い動機があり、それがジョンを衝き動かしているのだ、と言うのがはっきりしていたのですが、本作では、ジョンが約束を反故にし、殺し屋世界のルールを破って追われるようになる理由が、はっきりしないのです。その為、「何でそうする？」と言う疑問を抱えたままとなり、どうにもすっきりしない……確かに、そうした心理描写を削ぎ落とすのがハードボイルドの定石とは言え、だからこそ、ジョンの行動の理由付けを見せて欲しいと思いました。
最後は、殺し屋社会そのものを敵とした所で終わります。
更に難易度の高い、絶体絶命の状況から始まるであろう次回作に期待は高まりますが、ここで終わるのか！と言う気分になったのが正直な所です。
（２０１７年 ７月 ７日 ＴＯＨＯシネマズ上大岡にて）
（作品データ）
■監督
チャド・スタエルスキ
■出演
ジョン・ウィック ・・・ キアヌ・リーヴス
サンティーノ・ダントニオ ・・・ リッカルド・スカマルチョ
（その他のキャスト）
コモン ローレンス・フィッシュバーン ルビー・ローズ フランコ・ネロ クラウディア・ジェリーニ ブリジット・モイナハン
ランス・レディック トーマス・サドスキー デヴィッド・パトリック・ケリー ピーター・ストーメア トビアス・シーガル
ピーター・セラフィノウィッツ ルカ・モスカ ジョン・レグイザモ イアン・マクシェイン
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伝説の殺し屋 ＶＳ 世界中の殺し屋
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