パイレーツ・オブ・カリビアン
最後の海賊
これは、今やジョニー・デップの代表作となり、海賊モノは当たらない、とのジンクスも吹っ飛ばした大人気海洋アクション、「パイレーツ・オブ・カリビアン」の最新作で、シリーズ５作目となります。
ウィル・ターナーの息子ヘンリーは、父にかけられた呪いを解くポセイドンの槍を手に入れるため、ジャック・スパロウを探していた。
そんな彼の前に、槍の在り処を示す地図を持つカリーナが現われる。
その頃、飲んだくれたジャックが魔法のコンパスを手放したせいで、ジャックに恨みを抱く海の死神サラザールが解き放たれ、海賊狩りを始めて……
前作で、決着をつけた筈の物語を再始動。日本版ではあたかも完結編のような副題がつけられていますが、その実、終わりどころか新シリーズの幕開けとなるのが本作なのです。
本国ではジョニー・デップの人気に陰りが出ているものの、この「パイレーツ・オブ・カリビアン」は日本や中国では大人気で、ＴＤＲでも大人気のアトラクションなのですから、終わりにする訳にはいかない――そんな商業的な理由で製作されたのが本作で、２２０億円もの巨費を投入出来るのですから、やはり中国市場と、その資金力は恐るべし、です。
しかし、そんな理由で作られた映画が面白いか、と言うと、さすがに疑問符がつきます。
確かに、映画冒頭からノンストップのアクションが展開、笑えるシーンも盛り沢山で、アクションコメディとしての面白さは確かにあります。
また、呪われて死神となったサラザールとその仲間のビジュアルは不気味かつおどろおどろしく、ゾンビ鮫や、怪物そのものとなったサラザールの船などのビジュアルもよく出来ています。
そんな亡霊共と南国の陽光の下、白昼堂々と映し出して違和感のないＶＦＸのレベルは文句なく高い。
ただ、そんな中で、ただただ飲んだくれておどける、道化のような存在になっているジャック・スパロウの姿は如何なものか、と思いますし、ヘンリーやカリーナの父を想う気持ちが、きちんと描けずにただ物語を動かす推進力にしかなっていなのも物足りない所。
また、ジェフリー・ラッシュ演じるバルボッサの意外な過去も、どうにも後付け臭く、これはもう「これを最後に下ろしてくれ」と言うジェフリー・ラッシュの要望を聞き入れた展開にしか思えません。
全体的にこれまでの焼き直し感が強く、シリーズの縮小再生産にしか見えない、と言うと言い過ぎでしょうか・
最近、「トリプルＸ」、「ワイルド・スピード」、そして本作、と中国で人気の映画ソフトの続編の製作が続きます。
それでも、こんな気の抜けた作品ばかりでは、いい加減、見限られてしまうのではないでしょうか？
「グレート・ウォール」のように、今や中国映画は巨費と恵まれた製作環境を武器に、ハリウッドのトップスターを招いて映画が製作出来る訳で、本シリーズは続編が当然企画されていますが、これは相当に気合いを入れて仕切り直さないと、日本版副題のように「最後」になってしまう可能性大だと想います。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ヨアヒム・ローニング／エスペン・サンドベリ
■出演
ジャック・スパロウ ・・・ ジョニー・デップ
ヘンリー・ターナー ・・・ ブレントン・スウェイツ
カリーナ・スミス ・・・ カヤ・スコデラーリオ
キャプテン・バルボッサ ・・・ ジェフリー・ラッシュ
サラザール ・・・ ハビエル・バルデム
（その他のキャスト）
ケヴィン・R・マクナリー ゴルシフテ・ファラハニ デヴィッド・ウェナム スティーヴン・グレアム
オーランド・ブルーム キーラ・ナイトレイ ポール・マッカートニー
■コピー
ジャック ｖｓ 海の死神
■Ｌｉｎｋ
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