キング・アーサー
これは、広く知られたアーサー王伝説を「スナッチ」や「シャーロック・ホームズ」のガイ・リッチー監督が脚色して仕立てたファンタジー・アクション。
幼い頃に父王と母を眼前で殺されたアーサー。舟に乗せられて流されて追っ手を逃れた彼は、娼婦に拾われ、街の売春宿で逞しく成長.。いつの間にか育ててくれた娼婦たちを守る存在になっていた。
そんな彼は、ある日、父母を殺して王位に就いた暴君ヴォーティガンに捕らえられ、海底から姿を現した聖剣エクスカリバーを岩から引き抜くよう命じられる。
それまで誰にも抜けなかった剣を抜いたアーサーは、真の王を騙ったとして処刑されることになり……
日本でもよく知られた英雄伝説の映画化ですが、ガイ・リッチーの手にかかっては、遠慮なし。大胆に脚色され、ダーク・ファンタジーとなっています。確かにアーサー王の物語には魔法使いも登場し、剣と魔法の世界であるのですがここまでやるとは……冒頭の攻防戦など、正に映画「ロード・オブ・ザ・リング」を彷彿とさせる出来映えで、これには唖然とさせられると共に、これから始まる物語への期待に引き込まれました。
しかし、肝心の主人公、アーサーが出て来てからは失速。
問題なのは、アーサーを演じたチャーリー・ハナムに、後の名君、アーサー王を感じさせるカリスマ性と風格が感じられない事。違和感を覚える程に現代的な服飾デザインのせいもあって、現代のチンピラにしか見えないのはさすがに問題でしょう。
また、艶気のないのは仕方ないとしても、監督得意のブロマンス的要素もなく、これは女性ウケも悪そう。アクションシーンはてんこ盛りですが、これも特殊効果の使い過ぎが気になる所です。
冒険活劇としての見せ場はあり、エンターテイメント性の高さも認めるとしても、アーサー王伝説の映画化作品としては疑問の残る出来で、不発だと言うのにも納得です。
ＰＳ
この映画を「下克上エンターテイメント！」と言うのは如何なものか。
アーサーは育ちは悪いけれど、歴とした王子様。身分の低い者が実力でのし上がるのが下克上ですが、流浪の王子様が王権を取り戻すってのは「貴種流離譚」と言うお馴染みの形式。言本人なら、そしてコピーライターと言う言葉を操る者なら、日本語はちゃんと使わないといけないでしょう。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ガイ・リッチー
■出演
アーサー ・・・ チャーリー・ハナム
ヴォーティガン ・・・ ジュード・ロウ
（その他のキャスト）
アストリッド・ベルジュ=フリスベ ジャイモン・ハンスゥ エリック・バナ エイダン・ギレン フレディ・フォックス クレイグ・マクギンリー
トム・ウー キングズリー・ベン=アディル ニール・マスケル アナベル・ウォーリス ポッピー・デルヴィーニュ ミリー・ブレイディ
ブルー・ランドー ジャッキー・エインズリー ロレイン・ブルース ジョージナ・キャンベル ロブ・ナイトン ケイティ・マクグラス
デヴィッド・ベッカム
■コピー
スラムのガキから王になれ！ 下克上エンターテイメント！
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