| レイルロード・タイガー 鉄道飛虎 |
これは、ジャキー・チェン主演のアクション映画。
１９４１年。日中戦争下、中国の日本軍占領地域で「飛虎（フライング・タイガー）」を名乗る列車強盗団が活動していた。もっとも、マー・ユエンに率いられた彼らのやる事と言ったら、列車から軍の物資をくすねるくらい。
そんなある日、マーは鉄道橋の爆破に失敗し日本軍に追われていた八路軍の負傷兵ダーグオを助けるのだが……
第二次大戦前の中国を舞台に列車強盗を描く、と言う内容から、往年の西部劇でお馴染みの列車強盗ものを中国を舞台にアレンジした韓国映画「グッド・バッド・ウィアード」のような映画ではないか、と思っていたのですが……中国でお馴染みのエピソードの映画化、と言うこの映画、思っていた以上に「抗日映画」の性格が強いもの。恐らく、ジャッキー・チェンが主演を務めていなければ、日本で公開される事のない類いの映画だと思います。
そんな性格の映画ですが、そこはジャッキー・チェンの映画だけに、コミカルな展開や小ネタのギャグをちりばめたアクション・コメディ的な展開を見せています。
また、登場人物は多いのですが、しっかりとキャラクター付けを行い、混乱をせずに見られるのもさすが。
もっとも、その一方で、肉体的な問題か、体術を見せるアクションの見せ場は少なく、列車上での様々な攻防劇や、ミニチュアワークによるスペクタクルなどは、往年の西部劇を思わせる内容です。
クライマックスは、強力な日本軍相手に大きな犠牲を払いつつ勝利する、と言う抗日映画ならではの展開となり、それまでのコミカルな展開から一転して凄惨な闘いとなるのには違和感がありました。
ただ、敵手となる日本軍将校を演じる池内博之がなかなかいい存在感を出しています。
さすがに、大スターであるジャッキー・チェンの敵手には貫禄不足では、とも思いましたが、「イップ・マン 序章」での存在感を認められて抜擢された池内博之は、作品内容についても意見を挟めたようで、演じる山口と言う将校を、抗日映画におけるステレオタイプの悪い日本人（女将校の由子が正にこれで人間味のないほぼターミネーター状態になっている）ではなく、ちょっと間抜けな所もある人間味のある役柄にして見せており、彼の存在により、この映画は大分救われたように思います。
映画としての完成度は誉められたものではないですし、ジャッキー・チェンの映画として見ても、彼に期待してしまう体術を活かしたアクションの見せ場も少ない、と言う映画ですが、それでもせめて「グッド・バッド・ウィアード」くらいには仕上げて欲しかった所。
でも、それが出来ずに「抗日映画」とせざるを得ない辺りが、中国映画の限界でしょうか。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ディン・シェン
■出演
マー・ユエン ・・・ ジャッキー・チェン
（その他のキャスト）
ファン・ズータオ ワン・カイ 池内博之 シュイ・ファン サン・ピン ン・ウィンラン
矢野浩二 ジャン・ランシン ワン・ダールー ジェイシー・チャン
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俺たちに不可能はない!!
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