ＢＬＡＭＥ！
これは、弐瓶勉の同題コミックを、「亜人」や「シドニアの騎士」で知られるポリゴン・ピクチャーズがアニメ化したもの。
ＡＩと自動化が高度に進歩した未来、都市の自動修復システムが暴走し、地球全体を都市構造物が覆わんばかりに増殖し続ける階層都市の片隅でひっそりの生きる人々がいた。そんな人々――電基漁師の若者たちは、食糧探しの途中、人間を発見次第攻撃する都市防御機構、「セーフガード」の襲撃を受ける。
危機に瀕した彼らは、旅人だと言う霧亥によって救われる。
この世界の中で、あるものを探し続けていると言う霧亥を若者らは彼らの村に迎え入れるが……
これはなかなか意欲的で、かつ魅力的なアニメーション作品です。
これまでのポリゴン・ピクチャーズの作品同様、セル画風の３ＤＣＧアニメですが、ネット公開を前提として海外を含む大きなマーケット展開
を目論んで、大きな資金を投入。そのクオリティは格段の向上を見せています。
これを観ると、日本の映像作品のビジュアルセンス自体は一級品であると実感します。
それ程の世界構築と視覚効果。そして劇場版ならではの迫力あるサウンドと、これはハリウッドのスペクタクル大作にも決して劣らない出来で、豊富な資金を投じれば、日本のアニメーションはこれだけのものを描いて見せられるのだ、と言う事の証でしょう。
原作コミックは未読ですが、難解な長編であると言う原作を上手くアレンジしたものにはなっているのではないでしょうか？
少なくとも、予備知識なしでも充分に楽しめるコンパクトな物語ながら世界構築には抜かりなく、アクションの見せ場もしっかり作るなど、満足度の高い出来となっています。
（「横浜駅ＳＦ」と近い世界観のように思えましたが、作品の発表年次からすると、こちらが「横浜駅ＳＦ」の元になった感じでしょうか）
日本アニメならではの「萌え」要素に乏しい（まぁ、これはポリゴン・ピクチャーズ作品としてはありがちですが）し、地味な作品ではありますが、アニメーションならば日本でも世界に通用するＳＦスペクタクルが描ける、と言う可能性を示す本作、一見の価値ありと思います。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
瀬下寛之
■出演
霧亥 ・・・ 桜井孝宏
づる ・・・ 雨宮天
（その他のキャスト）
花澤香菜 山路和弘 宮野真守 州崎綾 島崎信長 梶裕貴 豊崎愛生 早見沙織
■コピー
生き延びろ――。
■Ｌｉｎｋ
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