ゴースト・イン・ザ・シェル
これは、これまでに幾度もアニメ映画化された士郎正宗の人気コミック「攻殻機動隊」をハリウッドで実写映画化したもの。
監督は、「スノー・ホワイト」のルパート・サンダース。
ハンカ・ロボティックス社は脳以外の全身義体化に成功。そんな全身義体のサイボーグに改造された特殊部隊の将校ミラ・キリアン少佐は、対テロ部隊の公安9課に配属される。
そんなある日、ハンカ社幹部が宴会場で芸者ロボットに襲われる事件が発生。少佐は上司である荒蒔課長の制止を無視し現場に突入するが……
この映画、アニメ版「攻殻機動隊」のリメイク、と言うよりも同人作品のような内容となっています。
アニメ版だけでなく、原作のエピソードからも様々なシーンやエピソードをピックアップし、実写版として再構築した感じです。
映像作品としての出来は決して悪くなく、冒頭の義体製造過程などは見事なものですし、士郎正宗が得意とする多脚戦車を実写化したクライマックスなどもなかなか。
押井守の愛犬であったバセットハウンドを登場させるとか、マニアックなこだわりもあり、この辺りは監督の原作愛を感じる部分です。
ただ、芸者ロボットは日本人の目から見るとなんだか勘違いしている造形ですし、士郎正宗風なら尚のこと健康的な美少女ロボットにして欲しかった所。また、トグサ役には日本人を起用して欲しかったなぁ……
公開前には短?ででむちむちのスカーレット・ヨハンソンは素子役には如何なものか、と言う意見もありましたが、出来上がった映画を観ると、ハリウッド女優では彼女以上の存在は望めない、とも思えます。
（ただし、それでも個人的には実写版の素子は太田莉菜に演じて欲しかったなぁ、と思っていますが）
スカーレット・ヨハンソンの起用により「素子」ではなく「ミラ」と言う実写版オリジナルキャラとなっているのは仕方ない部分ですが、「ゴースト（魂）とは？」を問う、人を人たらしめるものは何か、と言う作品テーマを、奪われた記憶を取り戻す、と言う内容に改変、更に恋愛要素を絡めているのは、物語の完成度を引き下げているように思えてなりません。
勿論、こうした「判り易さ」がハリウッド映画としては必要な改変だった、と言う事なのかも知れませんが、それでも本国では不振だと聞きますし、そうであれば尚更、日本人キャストとオリジナルテーマを固持して欲しかったと思います。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ルパート・サンダーズ
■出演
ミラ・キリアン“少佐” ・・・ スカーレット・ヨハンソン
荒蒔 ・・・ ビートたけし
（その他のキャスト）
マイケル・カルメン・ピット ピルー・アスベック チン・ハン ジュリエット・ビノシュ ラザラス・ラトゥーリー ダヌーシャ・サマル
泉原豊 タワンダ・マニーモ ピーター・フェルディナンド ピート・テオ 福島リラ 桃井かおり
■コピー
私を作った奴らに 私を止めることはできない
■Ｌｉｎｋ
［戻る］