３月のライオン
前編
これは少年棋士を描いた羽海野チカの同題コミックを、「るろうに剣心」の大友啓史監督が実写映画化したもの。
９歳の時、家族全員を事故で亡くした桐山零。プロ棋士の幸田柾近に引き取られた彼は、将棋の世界で生きることを決意。中学生でプロ棋士となり、高校生になった今は幸田家を出て川辺のアパートで一人暮らしをしていた。
そんなある日、先輩棋士に誘われ慣れない酒を飲まされた零は酔いつぶれて、川本家三姉妹の長女・あかりに拾われ、それをきっかけに度々川本家に招かれるようになる……
コミックの実写化映画の多い大友啓史、前作の「ミュージアム」は残念な出来でしたが、この映画はなかなかの出来。大友作品としては「るろうに剣心」もよかったですが、これは、それ以上ではないか、と思わせます。
対局シーンは俳優の熱演もあって、評価の高い「聖の青春」よりもいいものになっているのではないでしょうか？――何でも、対局シーンは、実際にプロ棋士に、棋士の特徴などを考慮しつつ、初手から決着までの全手の棋譜を作って貰い、俳優に全部指させたのだとか……そうした妥協のない作りが迫力を生み出したのではないかと思います。
そして、勝敗が人生さえ左右する真剣勝負の世界を描き、勝負師の生き様と、そんな世界で生きるしかない零の苦悩を見せる……これはなかなか見応えがありました。
主演の神木隆之介は、コミック／アニメ好きな彼だけに、本作でも見事な役作りを見せて桐山零になり切っていますし、特殊メイクで肥満体を作り、二階堂晴信になり切った染谷将太の熱演が楽しい。
川本三姉妹の長女あかりを演じた倉科カナの家庭的な温かさもよかったですが、本作でがらりとイメージを変えて来たのは、香子役の有村架純。これまで“いい子”が多かっただけに、本作での性悪ぶりが新鮮。また、下着姿のセクシーさにはドキリとさせられました。
PS
三姉妹の末娘、ももちゃんを演じた新津ちせは「君の名は。」の新海誠監督のお嬢さんだそうですね。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
大友啓史
■出演
桐山零 ・・・ 神木隆之介
幸田香子 ・・・ 有村架純
川本あかり ・・・ 倉科カナ
幸田柾近 ・・・ 豊川悦司
二階堂晴信 ・・・ 染谷将太
（その他のキャスト）
清原果耶 佐々木蔵之介 加瀬亮 前田吟 高橋一生 岩松了 斉木しげる 中村倫也
尾上寛之 奥野瑛太 甲本雅裕 新津ちせ 板谷由夏 伊藤英明
■コピー
闘う、愛したい、生きる。
■Ｌｉｎｋ
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