| ホワイトリリー |
これは、日活ロマンポルノ生誕４５周年を記念したロマンポルノ・リブートプロジェクトのうちの１作。
本作の監督は、「リング」などのホラー映画で定評のある中田秀夫。中田監督は、にっかつロマンポルノの名匠、小沼勝監督に師事した経歴がある、と言う事で、本プロジェクトの中では伝統を受け継ぐ立場となるでしょうか。
主演は、「仮面ライダーＷ」に出演の飛鳥凜。
有名陶芸家の登紀子の個人秘書として、彼女を支えるはるか。登紀子宅に住み込みで働く彼女は、バイセクシャルの登紀子のレズビアンパートナーでもあり、正に全てを登紀子に捧げていた。
だが、登紀子は有名になるにつれ、酒と男に溺れるようになっていた。
そんな折り、登紀子の知り合いの陶芸家の息子だと言う悟が登紀子宅に住み込むようになり……
本プロジェクトの映画を観るのは３本目ですが、非日常的な描写だったこれまでの２本に対し、本作は陶芸家の師と弟子、と言うありがちな日常の描写から始まります。
その日常が男と言う異分子によって歪んで行く……と言うのは、これはホラー映画によくある展開で、この辺りは如何にも中田監督らしい部分です。
ただ、同性愛パートナーでもある２人の間に生まれる狂気に焦点を当てるなら、悟が登場する前はあくまで平穏な描写としていた方が、その印象は際立ったように思え、日常的な描写とすればこそ、ドラマをしっかり練って欲しかった、と言うのが正直な所です。
ヒロインのはるか役の飛鳥凜は、大柄で筋肉質の骨太体型で、なるほどレズの男役には合っているかな、と。
登紀子役の山口香緒里はさすがに達者で、色狂いの熟女と言う、如何にもロマンポルノな役柄を見事に演じています。
そんな２人のレズシーンは美しくファンタジックに演出され、かつてのロマンポルノの定番、“百合族”を思わせるもの。その他カラミのシーンも、いかにもにっかつロマンポルノらしいシーンとなっており、正にリブートの名に相応しい仕上がり。それだけにドラマ部分の弱さが惜しい、と思えました。
（２０１７年 ２月１３日 シネマジャック＆ベティにて）
（作品データ）
■監督
中田秀夫
■出演
結城はるか ・・・ 飛鳥凜
乾登紀子 ・・・ 山口香緖里
（その他のキャスト）
町井祥真 西川カナコ 三上市朗 鎌倉太郎
■コピー
甘美な蜜の虜になる――
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