ドクター・ストレンジ
これは、マーベル・コミックスのヒーローの中でも異色の存在となる魔術師、ドクター・ストレンジを描く映画で、現在、製作中の「アベンジャーズ／インフィニティ・ウォー」に繋がる作品となります。
天才脳神経外科医として知られるスティーヴン・ストレンジ。だが、彼は自動車事故により、一命は取り留めたものの両手の自由を奪われ、そのキャリアを失ってしまう。
あらゆる治療法を試す中で、彼は財産を使い果たし、その傲慢な性格に愛想を尽かして恋人のクリスティーンも去っていった。
そんなスティーヴンは、奇蹟を生むカマー・タージと呼ばれる施設の存在を知り、有り金の全てをはたいてカトマンズへと向かうが……
この映画で印象的なのは何と言ってもビジュアル。
まるでエッシャーの絵をリアルに描いたような、空間がねじ曲がり、重力の方向まで変わっていく都会の光景は、「インセプション」でも描かれてはいましたが、本作はそれを大きく上回ります。
中盤のロンドンでの戦いは、その変容した世界を駆け回り、跳ね回るもので、これを発想した人の頭の中はどうなっているのか、と思うほど。
この圧巻のビジュアルは、大画面の3Dで観る価値大です。
ドクター・ストレンジことスティーヴンを演じるベネディクト・カンバーバッチは、この手の傲慢キャラにはお似合いです。ただ、見せ方のせいか、本作ではいつも以上に顔が大きく感じました。
エンシェント・ワンには、奇人・変人を演じさせたら抜群のティルダ・スウィントンが、これまた年齢不詳の美魔女っぷりを発揮。その他、主役級が顔を揃えるキャスティングは豪華で、見応えあります。
物語の方は、ちょっと端折り過ぎて時間経過が判り難く、原作では７年掛かりだった魔術修行の積み重ねが見えないのが惜しい。
秘密主義のエンシェント・ワンに対し、自信過剰なスティーヴンと、懐疑派の兄弟子モルドを置く人物配置は巧みですが、カーマ・タージの魔術師らと、暗黒の支配者ドーマムゥとの対立など、テーマに関わる部分をもっと踏み込んで欲しかった感があり、圧倒的なビジュアルの力にたいし、物語的には物足りなかったのが正直な所です。
エンドロールにはマーベル作品お馴染みの次なる登場への布石があり、ドクターは「アベンジャーズ」の前に「マイティ・ソー／ラグナロク」で出番があります。
それにしても、これでまた他人の言う事を聞かないヒーローの登場で、次の「アベンジャーズ」もまとめ上げるのには苦労しそうです。
ＰＳ
これでベネディクト・カンバーバッチにキウェテル・イジョフォー参加、と……「アベンジャーズ／インフィニティ・ウォー」はえらく豪華なキャストだなぁ……
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
スコット・デリクソン
■出演
スティーヴン・ストレンジ ・・・ ベネディクト・カンバーバッチ
クリスティーン ・・・ レイチェル・マクアダムス
エンシェント・ワン ・・・ ティルダ・スウィントン
モルド ・・・ キウェテル・イジョフォー
（その他のキャスト）
ベネディクト・ウォン マイケル・スタールバーグ ベンジャミン・ブラット スコット・アドキンス マッツ・ミケルセン エイミー・ランデッカー
ザラ・フィシアン アラー・サフィ ミシェル・サンティアゴ クリス・ヘムズワース スタン・リー
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上から目線の天才外科医。彼を目覚めさせたのは、魔術――
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