マグニフィセント
セブン
これは「七人の侍」の西部劇化である「荒野の七人」をリメイクしたもの。
アクション映画の名手、アントワーン・フークワ監督が、「トレーニンク・デイ」、「イコライザー」に続き三度デンゼル・ワシントンを主演に据えて撮影した映画です。
ローズ・クリークの町の人々は、悪徳資本家バーソロミュー・ボーグの金鉱開発の為、町からの立ち退きを迫られていた。
だが、雀の涙ほどの立ち退き費用で折角開拓した土地を離れさせられては、とても生きて行けない。
ボーグの手下に夫を殺された若き未亡人のエマは、全財産をつぎ込んで用心棒としてサム・チザムを雇い、ボーグ一党と対決する決意を固める。
サムは七人の仲間を集め、町の男をたちを訓練して、ボーグ一党と戦う準備を進めて……
映画は、「七人の侍」にあった、村人たちのドラマをばっさりカット、ロマンスの要素も殆どなし。七人の個性溢れるアウトローたちとその戦いっぷりを中心に、ど派手なアクションを展開、と言うもので、いかにも西部劇らしい、緊張感溢れる腹の探り合いからのガンアクション、銃撃に破壊、そして爆破、とあの手この手のアクションを盛り込んだクライマックスの攻防戦と、アクション映画としての見せ場満載で飽きさせません。
ただ、その一方で、ボーグが町の人々に立ち退きを迫る理由が今ひとつ判然としない辺りや、ボーグ一党の戦術（ガトリング銃を持ってるなら何故、最初に撃ち込まないのだ？など）に納得しがたい部分があるなど、物語には穴も目立ちます。
それでも、「七人の侍」と言う名作を元にするだけに、その面白さは折り紙付き。最後には、あのエルマー・バーンスタインの名スコアも流されます――出来れば本編中、ここぞ、と言う場面でで流して欲しかった所ですが。
主演のデンゼル・ワシントンは、映画中で正に正義の象徴的位置づけ。ただ、目立っていたのはイカサマギャンブラーのファラデーを演じたクリス・プラットや、事実上、「七人＋紅一点」のヒロイン、エマを演じたヘイリー・ベネット。ちょっと垢抜けない感じもありますが、“西部の女”としては「ジェーン」のナタリー・ポートマンよりも説得力があるように思いました。
先日の「ジェーン」に続く、本格西部劇かつ痛快アクション巨編。でも、２１世紀の現代に描かれるその構図は興味深い変質を見せています。
リーダー格のサム・チザムは黒人で、その他にもメキシコ人にアジア人、アメリカ先住民とマイノリティ揃い。そして、彼らを雇ったのは女性であるエマで、彼らが戦うのは白人の資本家、と言う構図。
これをトランプ大統領と彼が非難するメキシコ人、アジア人（中国人＆日本人）、黒人、女性と言う現実に照らし合わせると奇妙な程に整合するのです。勿論、映画企画時にこの現実は見えていなかったでしょうけれど、この現実を生み出した背景にあるものが、この映画製作の背景になっているのは否定出来ないように思います。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
アントワーン・フークワ
■出演
サム・チザム ・・・ デンゼル・ワシントン
ジョシュ・ファラデー ・・・ クリス・プラット
エマ・クレイン ・・・ ヘイリー・ベネット
バーソロミュー・ボーグ ・・・ ピーター・サースガード
（その他のキャスト）
イーサン・ホーク ヴィンセント・ドノフリオ イ・ビョンホン マヌエル・ガルシア=ルルフォ マーティン・センスマイヤー
ルーク・グライムス マット・ボマー ジョナサン・ジョス カム・ジガンデイ ショーン・ブリジャース ビリー・スローター
ヴィニー・ジョーンズ
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俺たち７人の流儀で、裁く。
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