ネオン・デーモン
ＮＥＯＮ ＤＥＭＯＮ
これは、「ドライヴ」のニコラス・ウィンディング・レフン監督の新作。
主演はエル・ファニング。レフン監督初の女性が主役の映画です。
１６歳のジェシーは、トップモデルになる為にジョージアからロスにやって来た。
ボーイフレンドのディーンに撮って貰った写真を手にモデル事務所に売り込みをかけ、天性の美貌によりチャンスを掴んで行く。
そんなジェシーにメイクのルビーは好意を寄せるが、ルビーの友人のモデルたちからは嫉妬心を以て迎えられ……
映画はジェシーの死体写真から始まります。
そう言えば、前作の「オンリー・ゴッド」も１６歳の少女の死から始まりましたし、この辺りは、レフン監督のネクロフィリア的な変態さを感じる部分です。
そして始まる物語は、「美」と言う現代の悪魔に魂を売り渡した亡者たちの繰り広げる地獄絵図。
これははっきり言ってファンタジーで、実際のモデル業界を描いたドラマだと思って観ていると呆気に取られるような内容だと思います。
主要登場人物が皆女性、と言う事もあって、今回の映画では暴力描写は控えられましたが、その分、レフン監督ならではの変態らしさは強まりました。
ネクロフィリアにロリコン……そしてカニバリズム。
主演のエル・ファニングが未成年だったので、ヌードを写す訳に行かず、描写は抑えられましたが、変態っぽさはむしろ強まり、レフン監督ならではのどぎつい赤に彩られた画面に、不安感を煽る電子音楽と、映像が与えるインパクトはかなり強いものがあります。
ただ、この映画、ジェシー役のエル・ファニングが適役であったかは正直、疑問。
サラを演じたアビー・リーなど本物のスーパーモデルと比べると、スタイルは見劣りするし、ウォーキングなどの基本スキルも出来てない……それで何故、と言うのを映画なのですから描いて見せなければいけない所ではないでしょうか？
それにしても、姉のダコタ・ファニングもそうですが、いい意味で出演作を選ばないエル・ファニングの覚悟と言うか度胸には感心します。
映画終盤は、これまた血塗れとなりますが、インパクトとしてはちょっと弱かったような……どうせファンタジーなのですから、血潮の中から「美」と言う悪魔に愛されたジェシーの復活があってもよかったのではないか、と……
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ニコラス・ウィンディング・レフン
■出演
ジェシー ・・・ エル・ファニング
ディーン ・・・ カール・グルスマン
ルビー ・・・ ジェナ・マローン
ジジ ・・・ ベラ・ヒースコート
サラ ・・・ アビー・リー
（その他のキャスト）
クリスティナ・ヘンドリックス キアヌ・リーヴス
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無垢な夢が邪悪な毒に染まる
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