これは、ノルウェーを代表する作家ラーシュ・ソービエ・クリステンセンの小説を映画化した青春ドラマ。

　１９６７年、キムはビートルズに憧れる高校生だった。親友のセブ、グンナー、オーラらの４人と共にレコードを聴いては、それぞれをビートルズのメンバーに重ね合わせ、バンドを結成するのだった。
　夏休み、ひとりでいる事の多くなったキムは映画館で見知らぬ女の子にキスをされる。それ以来、キムはニーナと言う名前しか知らない彼女へのラブレターを書くのに夢中になる。
　新学期、転校生の美少女、セシリアと親しくなったのだが……

　ビートルズの名曲に乗せ、４人の高校生の青春物語が展開されるこの映画、本作の為にオーディションで選ばれた少年たちのキャラクターがなかなか。この４人がオスロの通りを一列になって歩く、これぞ“僕らのアビー・ロード”と言うカットには微笑んでしまいます。
　この映画で主役となるキムは、ポール・マッカトニーの若い頃を思わせる顔立ちで、シャイで不器用な性格はいかにも青春ものの主人公らしく、観客の感情移入を促すものでしょう。
　あと、セシリアを演じたスサン・ブーシェの美貌とスタイルは思春期の少年でなくとも魅力的なものですし、この映画は徹底して男の子目線（事実上、キムの一人称ですし）なので、「女の子の考えてる事は謎」とし、ミステリアスな小悪魔キャラとしているのもいい。

　物語としては、音楽映画と言うよりも青春映画で、憧れや、恋愛、そして家族や社会との関わりなどを等身大で描いて行くのが中心となります。
　それでも、「ａ−ｈａ」のマグネ・フルホルメンによる音楽は、ビートルズ曲のアレンジに加え、’６０年代らしいオリジナル曲も魅力的。

　他愛ない悪戯を繰り返していた少年は、音楽を知り、恋を知り、己を知って、未来に向かって歩き出す……その行き先を知った時、これはラーシュ・ソービエ・クリステンセンの自伝的な物語だったのだな、と理解しました。
　

　（２０１７年　１月　８日　シネマジャック＆ベティにて）

（作品データ）

　■監督

ペーテル・フリント　

　■出演

　キム＝“ポール”　 ・・・　ルイス・ウィリアムズ
　セブ＝“ジョージ”　・・・　ホーヴァール・ジャクウィッツ
　オラ＝“リンゴ”　　 ・・・　ハルヴォー・シュルツ
　グンナー＝“ジョン”・・・　オレ・ニコライ・ヨルゲンセン

　セシリア　・・・　スサン・ブーシェ

　ニーナ　・・・　エッマ・ウェーゲ

（その他のキャスト）
　

　■コピー

１９６７年、オスロ。
ビートルズに憧れる少年たちの青春ムービー！　

　■Ｌｉｎｋ

http://yesterday-movie.com/　

［戻る］