ＮＥＲＶＥ
世界で一番危険なゲーム
これは、ネット社会の現代で、架空のゲームに翻弄される若者たちを描くスリラー。
ニューヨークのスタテン島で母親と暮らす引っ込み思案な高校生のヴィー。一人暮らしを許さない母親のせいで希望する大学に行けず、学校では片思い相手にフラれたヴィーは、半ばヤケになって密かに人気の「ＮＥＲＶＥ」というオンラインゲームに挑戦者として登録してしまう。
それは、ゲームの視聴者から与えられた課題をクリアすると賞金を手にできるというものだった。
最初の課題は「知らない他人と５秒キスすること」――それをクリアしたヴィ−は＄１００を手にし、調子に乗って門限を破ってニューヨークの繁華街に繰り出して……
映画に描かれるＮＥＲＶＥは、挑戦者が視聴者から賞金付きで与えられた課題をクリアすれば賞金を手に出来る、と言うもの。多くの視聴者を集めればそれだけ賞金額も上がるのだけど、クリアも困難になって行きます。
これはなかなか面白いシステムで、現実にアクセス数を稼ぐ為に犯罪までして動画を投稿する若者が後を絶たない訳ですから、注目される以上に金まで入る、と言うのであれば更にヒートアップするのは安易に予想出来ること。システム的には大して難しいものではなく、これは現実に似たような事は出来るのではないか、と思わせます。
映画は、このアイデアを軸に、大人しい少女が友人の奔放な少女に対抗するようにゲームにのめり込んで行く、と言うドラマを描き、更に顔が見えず情報がどのように流れるのか判らない、と言うネット社会の怖さも盛り込むスリラーであると共に、アクション・サスペンスであり、社会派としても青春映画としても観る事が出来る予想以上に見応えのある内容となっています。
ヒロインのヴィーを演じたエマ・ロバーツはジュリア・ロバーツの姪。大きな目とスレンダーな体型が特徴で、ちょっとアメリカ女優には珍しいタイプで見た目としては波瑠に似ているなぁ、と思いました。
高校生役で若くは見えるけど、子役から始めて既に１５年のキャリアがある中堅所、と言う所でしょうか。
映画は、匿名社会の不気味さや無責任さ。そして、そんなものに依存し、振り回される事の愚かさを揶揄します。映画に登場するのは殆どが高校生を中心とする若者ですが、そんな意味からも、この映画は決して若者向けではありません。
ただ、そうなると、ゲームの運用組織が見えない踏み込みの浅さ、ハッカーなら何でも可能、と言う安易な描写が物足りません。
より楽しめるものとするなら、よりリアリティのある設定をして欲しいし、物語の方にももう一捻り欲しかった所です。
（２０１７年 １月７日 ＴＯＨＯシネマズららぽーと横浜にて）
（作品データ）
■監督
ヘンリー・ジュースト アリエル・シュルマン
■出演
ヴィー（ヴィクトリア・デルモニコ） ・・・ エマ・ロバーツ
イアン ・・・ デイヴ・フランコ
（その他のキャスト）
ジュリエット・ルイス エミリー・ミード マイルズ・ハイザー キミコ・グレン マーク・ジョン・ジェフリーズ
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