ポッピンＱ
ＰＯＰ　ＩＮ　Ｑ

　これは東映アニメーションの創立６０周年記念として作られた劇場版オリジナルアニメ。
　「プリキュア」シリーズのダンス映像を手掛けて来た宮原直樹が初監督を務めます。

　中学３年生の伊純は卒業と東京への引っ越しを前に、行き詰まっていた。３年生での最後の陸上競技会での敗戦が未だ引っかかっていたのだ。
　卒業式当日、学校に向かう気にもなれずに海辺に向かった伊純は美しく輝く何かの欠片を拾う――それは“時の欠片”だった。それを手にした伊純は不思議な世界に迷い込み、そこで同じ中学３年生のあさひ、蒼、小夏の３人と、この世界の住人であるポッピン族に出会う。
　そこで彼女たちは、この世界を救うため、欠片を集め、心をひとつにして踊る事が必要だと聞かされて……

　この物語、「プリキュア」の対象層よりも若干上の年齢層を狙った感じ。
　魔法少女のキラキラした世界観は、ロールプレイングゲーム的なファンタジー世界とされ、キャラクターは微妙な表情表現が可能な京アニ風、アイドル風のダンスは「ラブライブ」を連想させます――ダンスに既視感があると思ったら、製作協力にＥＸＩＥＬの名が……モーションキャプチャーをしたのがＥ−ｇｉｒｌｓ辺りだったのかな――いいとこ取り、と言うか寄せ集め感がある内容ですが、それでもステージに立つ少女は５人でリーダー各のイメージカラーが赤なのに始まって、青、緑、黄色、紫とイメージカラーと性格分けが与えられたキャラクター設定は特撮戦隊風で、その辺りはいかにも東映らしい部分でしょうか。

　アニメーションとしては、ＣＧを使いつつもセルアニメ風に仕上げたもので、そのダイナミックなアングル、自在な視点移動などは正に実写を超えるもの。クライマックスのダンスシーンもまた見事なものです。

　物語としても、ノリは正に青春もので、それぞれに抱える悩みや問題を克服、仲間と絆を結んで戦いに臨む、と言う展開は殆ど青春・スポ根の定番。台詞が青臭いとか、説教臭いとか気になる人はいるでしょうけど、この手の話が好きな自分にとっては全く問題なし。各自が胸に抱えたものを吐露するシーンでは思わず涙してしまった程ですし、そこを乗り越え、能力を開花させていく辺りも気持ちよく、圧巻のラストステージまでしっかり楽しめてしまいました。
　敵方の描写でちょっと物足りない部分があったのですが、これは続編への伏線とは……エンドロール後には、続編のプレビュー映像があり、やる気は満々のようですが、それでも物語的にはこの映画で完結させて欲しかったのが正直な所です。
　

　（２０１７年　１月　１日　横浜　ブルク１３にて）

（作品データ）

　■監督

宮原直樹　

　■出演

　小湊伊純　　・・・　瀬戸麻沙美
　日岡蒼　 　　・・・　井澤詩織
　友立小夏　　・・・　種崎敦美
　大道あさひ　・・・　小澤亜季
　都久井沙紀　・・・　黒沢ともよ

（その他のキャスト）
　田上真里奈　　石原夏織　　本渡楓　　Ｍ・Ａ・Ｏ　　新井里美　　石塚運昇　　山崎エリイ
　田所あずさ　　戸田めぐみ　　内山昴輝　　羽佐間道夫　　小野大輔　　島崎和歌子

　■コピー

その世界には自分を知ってる人がいた――　

　■Ｌｉｎｋ

http://www.popin-q.com/　

［戻る］