これは、昨年末に公開が始まったディズニー版スター・ウォーズシリーズのスピンオフ作品。
　ディズニー版スター・ウォーズは３部作で隔年公開され、その合間にスピンオフ作品が公開される予定となっており、本作はそのスピンオフ第一弾。そして、これまで作られたスピンオフ作品のアニメ版と異なり、本編のスター・ウォーズ・サーガに劣らない力の入った実写作品となっています。
　監督は、「ＧＯＤＺＩＬＬＡ」で知られる特撮や日本映画への造詣も深いギャレス・エドワード。

　銀河帝国軍の惑星をも破壊する大規模破壊兵器“デス・スター”の完成が近づき、共和国勢力を中心とする反乱軍は揺れていた。
　その最中、帝国軍からの脱走者がデス・スターに関する情報を持ち出すが、それは反乱軍過激派、ソウ・ゲレラの手に落ちる。共和国は、　“ならず者”（ローグ）として帝国刑務所に収監されていたジン・アーソを救出、ソウ・ゲレラとコンタクトさせようとする。
　ジンは、デス・スターを開発したゲイレン・アーソの娘で、父が捕らわれ母を殺された後は、ソウ・ゲレラの養子として育てられたのだった……

　この物語は、１９７７年の「スター・ウォーズ」第一弾（後に言う「エピソード４：新たなる希望」）の冒頭字幕で語られる、反乱軍の「最初の勝利」とデス・スターの設計図の入手、それが如何にして成されたのかを描くもの。
　映画は、その「エピソード４」の始まる１０分前までを写し出します。

　物語の基本は、ジンの復讐譚であり、そして、デス・スターを破壊するために命を捧げた名もなき戦士たちの自己犠牲の物語。
　前半、登場人物の顔見せとなる部分には、笑える場面もありますが、中盤以降は、仲間のために命を張り、そして、その屍を踏み越えて進む、涙なくしては見られないシーンの連続となります。そして、その感動は、ルーク・スカイウォーカーによる鮮やかなデス・スター破壊を成し遂げさせるために、これだけの献身と犠牲があったのだ、と思う時により深いものになるでしょう。
　
ギャレス・エドワードは、「ＧＯＤＺＩＬＬＡ」の時にも感じましたが、絵作りが上手く、地平線上に浮かぶデス・スターなど、はっとさせられるようなシーンが随所にありましたし、巨大なものを巨大に写す描写も上手い。
　そして、ＳＷマニアであるだけに、これまでのスター・ウォーズ作品に登場したメカや宇宙人を登場させているのも楽しめるところです。
　また、スター・ウォーズは、日本映画や文化から多くを引用していました。「エピソード４」の人物配置が「隠し砦の三悪人」だと言う事はよく言われますが、本作でのジンを取り巻く仲間たちは「七人の侍」。この辺りもギャレス・エドワード監督らしい部分です。

　そして、特筆すべきは「エピソード４」の登場人物がそのまま登場する事。仮面を被っているダース・ベイダーはともかく、ターキン総督やレイア姫（ターキン総督役のピーター・カッシングは１９９４年に死去している）の登場には驚きました。
　これは過去の映像を元にＣＧ合成したバーチャル出演なのですが、こうした新技術をさらりと使いこなしてみせるのもまたスター・ウォーズらしいのではないでしょうか。

　本作は、その物語的にスター・ウォーズ・サーガの持ち味である、痛快活劇としての魅力を減じているとは言え、見事な絵作りに、マニア納得の設定、そして観る人を驚かせる新技術、と昨年の「エピソード７：フォースの覚醒」よりもスター・ウォーズらしい映画となっているのではないか、と思いました。
　

　（年　月日　にて）

（作品データ）

　■監督

ギャレス・エドワード　

　■出演

　ジン・アーソ　・・・　フェリシティ・ジョーンズ

　ゲイレン・アーソ　・・・　マッツ・ミケルセン

　キャプテン・キャシアン　・・・　ディエゴ・ルナ

　ソウ・ゲレラ　・・・　フォレスト・ウィティカー

（その他のキャスト）
　ドニー・イェン　　ベン・メンデルソーン　　チアン・ウェン　　アラン・テュディック　　リズ・アーメッド　　
　ジェームズ・アール・ジョーンズ

　■コピー

希望は、死なない――。　

　■Ｌｉｎｋ

http://starwars.disney.co.jp/movie/r1.html　

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