インフェルノ
これは、「ダ・ヴィンチ・コード」、「天使と悪魔」に続くダン・ブラウン原作、ロン・ハワード監督による、ラングドン教授の謎解きミステリー第三弾。
ケンンブリッジ大の宗教象徴学教授ラングドン。彼が悪夢から目を覚ますと、そこはフィレンツェの病院のベッドだった。
頭に怪我を負い、過去数日間の記憶を失い混乱するラングドンを、軍警察の制服を着た女が襲うが、担当の医師シエナの機転で、病院を抜け出して彼女のアパートへ向かい、身を潜める事にした。
警察を避け、米国領事館に連絡をとったラングドンだが、やって来たのはＷＨＯの職員で……
美術品と名所・名跡を題材に、その蘊蓄を盛り込んでミステリーとする、と言うダン・ブラウンのこのシリーズは、確かに映画向きの内容。
今回も、フィレンツェに始まり、バディア・フィオレンティーナ教会、ヴェッキオ宮殿と名跡を辿る内容で、貴重な文化遺産を大スクリーンで観られるだけでも価値がある、と言えるでしょう。
しかも、そんな場所で追いかけっこを行い、貴重な文化財を謎解きの材料としてしまうと言う豪勢さも見所で、バディア・フィオレンティーナ教会の天井画を破って工作員落下と言う描写さえあります。
勿論、こんな撮影が許される訳もなく、合成なのでしょうけど、その繋ぎも判らない見せ方の見事さも特筆ものです。
物語の面白さもこれまでで一番で、よく考えると無理のあるダン・ブラウンの物語上の問題点をカバーするため、ラングドン教授の記憶と意識を混乱させた状態で物語を始め、観客に状況を理解させないうちにノンストップで物語を動かして行く、その豪腕ぶりには引き込まれますし、ダレて来た終盤でドンデン返しを仕掛ける辺りもよく、面白く観られました。
今回は宗教的な色合いを排除、現代人全てが考えるべき問題を取り上げて、その「判断」を問う、テーマにも考えさせられます（実際、「一理ある」と思えてしまうのですから……）が、採決を出すのから逃げている辺りには、ちょっと弱さも感じます。まぁ、簡単に答えの出せるものでもないのですが。
ラングドン教授を演じるトム・ハンクスはさすがの安定感ですし、シエナ役のフェリシティ・ジョーンズもハマリ役。
内容的には、名所・名跡で素人探偵の活躍する“２時間ドラマ”と同じ様なものとは言え、このキャストに、この舞台と言う豪華さもあって満足度は桁違いです。
（年 月日 にて）
（作品データ）
■監督
ロン・ハワード
■出演
ロバート・ラングドン ・・・ トム・ハンクス
シエナ・ブルックス ・・・ フェリシティ・ジョーンズ
バートランド・ゾブリスト ・・・ ベン・フォスター
（その他のキャスト）
イルファン・カーン オマール・シー シセ・バベット・クヌッセン
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