| ＧＡＮＴＺ：Ｏ |
これは、奥浩哉の人気コミック「ＧＡＮＴＺ」の中から、大阪編と呼ばれる人気のエピソードをオールＣＧアニメとしたもの。
高校生の加藤勝は、地下鉄駅で通り魔に襲われた人を助けようとして通り魔に刺殺されてしまう。だが、死んだはずの加藤が気づくと、そこはマンションの一室だった。事態を把握する間もなく、加藤は謎の黒い球体の指令により、人気アイドルのレイカらと共に大阪の街へと転送されて……
これは、日本のＣＧアニメとしては、と言う前置きを置かずに、１本の劇場映画としてなかなか見事な出来になっています。
元々、奥浩哉のコミック版「ＧＡＮＴＺ」は背景などにＣＧを活用しており、キャラクターも劇画調。リアルタッチのオールＣＧアニメとは相性がいい。しかも、舞台を限定して、予算や日程などの制約条件の中でもリアルで密度の舞台設定を行い、キャラクター造形も現実とコミックの中間に相当する絶妙の設定で、正に“リアル”な「ＧＡＮＴＺ」世界……いや、それ以上のものをスクリーンに描き出しています。
実際、この映画の映像レベルは高く、大阪の街を日本古来の妖怪が暴れ回る、正に百鬼夜行の世界はおどろおどろしく、巨大ロボットと怪物の戦いは「パシフィック・リム」並の迫力。
また、女性キャラの描写……肉感的な艶めかしさに、その弾力までを実現したそれは特筆もので、バストが揺れる様をコミックスでも表現すべく揺れる乳首を残像で描くと言う手法まで開発したとされる、巨乳好きの奥浩哉もこれには納得するのではないでしょうか？
確かに、人物の表情や動きに違和感が一部あるものの、繊細な感情描写が重視されない、全編アクションの今回の映画のような作風では目立ちませんし、そもそも、制約条件の中でその弱みをカバーする展開を選んだ所も評価すべきでしょう。
ただ、やはり内容としては「ＧＡＮＴＺ」をよく知る人向けで、作品内ルールもうろ覚えだった自分としては「あれっ？」と思うシーンもありました。それでも、予想以上に楽しめましたし、ここまで出来るなら「ＧＡＮＴＺ」をリブートして最初っからこのクオリティで見せて欲しい程です。
先日観た「ＫＩＮＧＳＧＬＡＩＶＥ ＦＩＮＡＬ ＦＡＮＴＡＳＹ ＸＶ」にはいささか失望しましたが、アニメでは定評のある日本映画が、この表現力を使いこなせるなら、凄いものが出来るのではないか、とあらためて思わされた１本です。
（２０１６年 １０月１４日 ＴＯＨＯシネマズ上大岡にて）
（作品データ）
■総監督
さとうけいいち
■監督
川村泰
■出演
加藤勝 ・・・ 小野大輔
山咲杏 ・・・ Ｍ・Ａ・Ｏ
レイカ ・・・ 早見沙織
（その他のキャスト）
池田秀一 津嘉山正種 小野坂昌也 津田健次郎 小川輝晃 梶裕貴
■コピー
必ず、生きて帰る。
■Ｌｉｎｋ
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