真田十勇士
これは、講談などでもお馴染みの戦国の名将・真田幸村と猿飛佐助、霧隠才蔵ら十勇士の活躍を描いた２０１４年上演の舞台「真田十勇士」を、堤幸彦監督が実写映画化した歴史活劇。
主演は舞台版と同じ六代目中村勘九郎で、松坂桃李ら主要なキャストも舞台版と同じとなっています。
関ヶ原の戦いから１４年。秀吉の嫡男・秀頼を立て復権を狙う豊臣家と、天下統一を目指す徳川家康との対立はいよいよ深まっていた。
「つまらない世を面白く生きる」為に抜け忍となった猿飛佐助は、名将と謳われた真田幸村と出会い、実は凡庸な武将だった幸村を本物の英雄に仕立て上げようと目論み、９人の仲間を集め、幸村を担いで大阪城に乗り込むが……
この映画、真田幸村は猿飛佐助の操り人形も同然であり、十勇士に担がれて英雄に仕立てられた、と言う大胆な脚色がアイデアの肝。それで猿飛佐助を事実上の主人公に据え、十勇士の活躍を物語の中心にする、と……
猿飛佐助役の中村勘九郎のオーバーアクトと言うか芝居じみたコミカルな演技は「ルパン三世」を実写で観ているようで、正にアニメから抜け出して来たようなクールな二枚目の霧隠才蔵と好対照を見せて面白いです。あと、火垂役の大島優子はもう少し活躍シーンが欲しかったな。
映画ならではの見せ場としては大規模セットにより実際に再現された真田丸での合戦シーンや、大阪・夏の陣での大軍の衝突など日本映画らしからぬスケールの大きさを見せているのもいい。
また、見せ場のひとつでもある勇士を集める部分をアニメにして冒頭数分で語ってしまい、物語を大阪冬の陣・夏の陣に集中させた構成もいささか人を食った感はあるものの堤監督らしい部分です。（ただ、あのアニメの内容だったら実写でも出来たような気がするけれど……）
堤監督らしい遊びや、笑える部分も随所も盛り込まれ、クライマックスには大ドンデン返し。
それまで、現実味がないとか、史実と違うと内心でツッコミを入れていたのが虚しくなるのような大胆過ぎる展開で、念を押すように「何が嘘で何が真やら」と言うテーマを持ち出されては、苦笑しつつも納得するしかありません。
この映画、大阪の戦いを前半に持って行き、エンドロールの紙芝居をドラマ化して後半に描いてくれたら傑作になったかもしれません。そうすれば、舞台版の続編と言う事にもなるでしょうし……
ＰＳ
それにしても、今年のＮＨＫ大河ドラマ「真田丸」のクライマックスシーンを先に映画でやってしまう、と言う内容には、製作の日本テレビも嫌らしい事するなぁ、と……
（２０１６年 ９月２４日 横浜ブルク１３にて）
（作品データ）
■監督
堤幸彦
■出演
猿飛佐助 ・・・ 中村勘九郎
霧隠才蔵 ・・・ 松坂桃李
真田幸村 ・・・ 加藤雅也
火垂 ・・・ 大島優子
（その他のキャスト）
永山絢斗 高橋光臣 駿河太郎 村井良大 荒井敦史 望月歩 青木健
石垣佑磨 加藤和樹 伊武雅刀 佐藤二朗 野添義弘 松平健 大竹しのぶ
松平定知
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